「生きざま」は若鯉たちへ
熟練した技術を持つ者同士の真剣勝負。
そんな白熱するシーンに出逢えた時、改めてスポーツの魅力を感じます。
先日行われたカープ石原慶幸選手の引退試合。
8回の現役最終打席は阪神・能見投手との同学年対決が実現しました。
5球全て渾身のストレートを投じる左腕に対し、フルスイングで応える姿。
プロ野球の世界で互いに切磋琢磨してきた二人だけの時間が流れ、
1つの白球を通して“会話”をしているようでした。
同じく引退を決めた阪神・藤川球児投手も最後のマウンドでは12球全て代名詞の直球勝負。
その人の「生きざま」が強烈なエネルギーで伝わってくる瞬間は、見る者の心を大きく揺さぶります。
チームの悲願達成や個人記録、引退試合などもそうですが
スポーツ中継を担当していると様々な節目の瞬間に「実況」で巡り合える事があり、
自身を振り返ると、幸運にもプロアマ問わず「初〇〇!」という瞬間に多く立ち会えてきたと感じています。
その中で、今季何度も「当時の光景」を思い出したのが
昨年8月21日、本拠地でのヤクルト戦で遠藤淳志投手がプロ初勝利を挙げた日。
リリーフの役割で掴んだプロ初白星を実況で伝えることができました。
1つの勝利を自信にさらなる鍛錬に励み、先発で挑んだ3年目の今季は最後までローテを守り抜く奮闘。
今季ラスト登板、自身2連勝で締めくくったマウンド上には「成長した証」がたしかに存在しました。
私にとって今季最後のヒーローインタビューも相手は遠藤投手。
お立ち台に昇る彼の姿を見る度に嬉しく、頼もしく感じています。
今シーズンも楽しみな若手選手の台頭がありました!
駆け出し始めた若鯉たちとユニフォームを脱ぐベテラン。
ファンに温かく送り出される先輩の引退セレモニーを見て、
後輩たちは何を感じ、どんな未来を描いて、これからの道を歩んでいくのでしょうか。