語り継がれる”生きざま”
25年ぶりのリーグ優勝を果たし、
広島の街に大きな感動を与えてくれたカープ。
優勝パレードもすごい熱気に包まれましたね。
私はマツダスタジアムのバックスクリーンにあるビジョンで
たくさんのファンの皆様と一緒にその中継映像を観ていましたが、
笑顔の選手たち、”ありがとう”の声が響き渡る沿道の様子に
自然と目頭が熱くなりました。
その後の優勝報告会。
私は特番の為に、
その模様を一塁ベンチ側から実況していましたが、
緒方監督や小窪選手会長の挨拶、選手のグラウンド1周までは歓喜に沸き、
続く黒田博樹投手のセレモニーでは、
最後のメッセージに涙するファンの姿がありました。
そして、
カープのユニフォームを着て「15回」宙に舞った、最後の胴上げ。
黒田投手が最後にマウンドにひざまずき、別れを告げる姿。
喜び、寂しさ、様々な思いが交錯する感慨深い1日になりました。
テレビ中継用の実況も終えた私は、
引き上げる黒田投手を追うようにベンチ裏に向かいました。
そこでの囲み取材でのこと、
まず最初に「あの最後のマウンドでの行動」について聞かれた黒田投手は、、、
黙ったままでした。
口を開いて、何かを喋ろうとすると、涙が溢れそうになる、
込み上げるものを我慢するため、食いしばるように口をギュッと結ぶ。
その繰り返しで、数分間、
黒田投手も我々記者も黙ったままの時間が続きました。
多くの言葉を並べられるよりも伝わるものがある。
私には”長く”感じたその沈黙の時間が、
カープのユニフォームを着た黒田投手の最後の姿、
取材として一生忘れられないものになると思います。