エスターハージー宮殿
オーストリアはウィーン州をはじめチロル州やザルツブルグ州など9つの州から成り立っています。そのひとつ、ハンガリーとの国境近くのブルゲンランド州をご紹介いたします。
ブルゲンランドを直訳すると「お城の国」で、その名の通り、2001年に世界遺産に登録されたノイシードラー湖周辺にはたくさんのお城が点在しています。
お城の多くは今でもエスターハージー侯爵家によって管理されています。エスターハージー侯爵家はヨーロッパ有数の名門貴族で、何世紀にもわたり歴史的に非常に重要な役割を果たしてきました。公開されているエスターハージー家のお城の中から特に観光に最適なスポットをご案内いたしましょう。
1.エスターハージー宮殿
ブルゲンランド州のアイゼンシュタットには素敵なエスターハージー宮殿があります。この宮殿はオーストリアに数多くある宮殿のなかでも最も美しい宮殿の一つです。 17世紀にパウル・エスターハージー一斉が購入後、ゴシック様式からバロック様式へと増改築し約350年の間同家によて維持されてきました。
この宮殿ではエスターハージー家の華やかな歴史と宮廷生活を偲ぶ数々の部屋が見学できます。
また、この中には素晴らしい音響効果の「ハイドンホール」があります。ここは世界で最も美しいコンサートホールの一つと言われています。作曲家ハイドンは40年間エスターハージー家に仕え、多くの名曲をここで作曲するとともに演奏活動も行いました。宮殿内の東館ではハイドンを紹介する常設展が行われており、ハイドン直筆のオペラの台本を始め、ビデオでハイドンの当時の生活や音楽の世界が身近にご覧いただけます。
宮殿の地下には300年以上の伝統と歴史を持つワイン醸造所があり、現在はワイン博物館として公開されています。ハイドンは報酬の一部をワインで受け取っていましたが、ハイドンのサインのある実物の契約書も展示されています。
2.フォルヒテンシュタイン城
城内には中世の歴史的なホールや厨房、また民間ではヨーロッパ最大規模の武器庫や深さ142mの中世の井戸などが見学できます。このお城の見所は、何世紀にもわたり収集された世界的にも珍しい芸術品や骨とう品です。これらの貴金属は豪華な宝物殿で見る事ができます。また、エスターハージー家代々のギャラリーには、世界で唯一保存されているブラド・デペシュ作の全身像「ドラキュラ伯爵」の絵画やフン族の「アティラ王」の肖像画があり、必見の価値があります。この2人はエスターハージー侯爵家の先祖と言われています。
3.ラッケンバッハ宮殿
アイゼンシュタットから車で20分ぐらい走るとロザリア連山の高台に城砦が見えてきます。このお城はトルコ戦争の時に防壁として使われましたが、17世紀にエスターハージー家の所有となりました。
城内には中世の歴史的なホールや厨房、また民間ではヨーロッパ最大規模の武器庫や深さ142mの中世の井戸などが見学できます。このお城の見所は、何世紀にもわたり収集された世界的にも珍しい芸術品や骨とう品です。これらの貴金属は豪華な宝物殿で見る事ができます。また、エスターハージー家代々のギャラリーには、世界で唯一保存されているブラド・デペシュ作の全身像「ドラキュラ伯爵」の絵画やフン族の「アティラ王」の肖像画があり、必見の価値があります。この2人はエスターハージー侯爵家の先祖と言われています。
4.ロッケンハウス城
5.エステルハージ宮殿
現在はハンガリー領となっていますが、アイゼンシュタットから少し離れたところのノイシードラー湖近くにフェルトゥードの町があります。そこには「ハンガリーのヴェルサイユ」と呼ばれる立派なバロック様式のエステルハージ(ハンガリー語の発音)宮殿があり、18世紀頃のエスターハージー家の栄華を偲ぶことができます。
ハイドンとフランツ・リストの父も宮廷楽長として仕え、2人の肖像画と譜面などが展示されています。またハプスブルク家の起訴を作った女帝マリア・テレジアの「素晴らしい音楽を聴くためにはエステルハージ宮殿に行かなくては」と語ったエピソードは大変有名です。マリア・テレジアが滞在した部屋には当時のベッドや肖像画などが展示されています。
エスターハージー家は、宮殿や多くの城などを所有するオーストリアで最大規模の財団法人ですが、芸術的なイベントの企画運営も行っており、文化振興を担う民間団体としても知られています。
例えば、今年の夏はローマ時代の採石場であるザンクト・マルガレーテンに屋外の特別舞台が設置され、様々なイベントが開催されます。そして、モーツアルトの有名なオペラ「ドン・ジョバンニ」が7月19日から8月28まで21回公演されます。
また、エスターハージー宮殿内のハイドンホールや庭園では、国際的に著名な音楽家による「2011年エスターハージー・フェスティバル」も開催されます。
あなたも是非「お城の国」ブルゲンランド州を訪れてみませんか。
ウィーン在住 イップ常子
イップ 常子
1949年、広島市生まれ。ウィーン在住37年 広島オーストリア協会会員
1973年に勤務先の広島大学理学部を退職し、同年10月にウィーン大へ留学。
74年に結婚し3児の母に。子どもたちの成長後、主婦業からガイドへ挑戦。
2001年オーストリア公認国家ガイド資格取得。
主にオーストリア国内をはじめチェコ、ハンガリー、スロバキアなどの近隣国への日本人観光客の観光案内・通訳に従事。
2009年9月 、ウィーン市内に建立された被爆石による「平和モニュメント」
実現のため現地の窓口として尽力。