世界中を取材した自然を紹介し、環境に関心を。
ゴギ/島根県浜田市
ゴギは、中国地方の清流にひっそりと暮らす「幻の魚」として知られています。紅葉が色づく美しい季節、礫底を産卵床として選び、子孫を残します。急流を好み、大きな岩の陰に身を潜める姿は、まさに自然との共存を象徴しているかのようです。しかし、河川改修などによる環境の変化に非常に弱く、その生息数は年々減少しています。
オオハクチョウ/北海道
毎年、本格的な冬を前に、繁殖地のロシア北東部から日本へと渡ってくるハクチョウ。北海道に飛来するその姿は、美しい白羽と優雅な動きで多くの人々を魅了します。この地は、本州へ向かうオオハクチョウたちが羽を休める中継地となっています。親子連れが水辺で餌をついばんだり、羽を繕ったりする姿は、冬の北海道の風物詩です。しかし、近年は地球温暖化の影響で、渡りのパターンや越冬地に変化が生じている可能性も指摘されています。
ハイラックス/ナミビア
ハイラックスは、一見ネズミのような可愛らしい外見をしていますが、実はゾウやジュゴンと同じ祖先を持つ、意外な動物です。乾燥したアフリカの岩場や草原に生息し、30頭から80頭程度の群れを作って生活しています。肉球が吸盤のように機能するため、垂直な岩壁も難なく登ることができます。
河津桜/三次市
静岡県の河津町で偶然発見された河津桜は、毎年2月上旬頃から咲き始め、早咲きの桜として知られています。昭和30年ごろ、河津川沿いで見つけられた一株が、その美しい花を咲かせる様子から大切に育てられ、品種として定着しました。一般的な桜が短い期間に一斉に花開くのに対し、河津桜はゆっくりと花を咲かせ、長い期間私たちを楽しませてくれます。
常清滝/三次市作木町
常清滝は、広島県北部・三次市作木町に位置する、高さ126メートルの雄大な滝です。日本の滝百選にも選ばれ、日光の華厳滝や熊野の那智滝と肩を並べるほどの壮観な姿を見せてくれます。1960年には広島県の名勝に指定され、その美しさは多くの人々を魅了し続けています。
ビワの花/東広島市
ビワは、6月に黄色く熟した果実を私たちに届けてくれる一方で、11月中旬から2月上旬という寒い時期に花を咲かせる、不思議な植物です。枝いっぱいに小さな白い花を咲かせ、その数は日に日に増え、花の色は白から黄色へと変化していきます。同時に、甘く芳醇な香りが辺りに漂い始め、メジロやヒヨドリなどの小鳥たちを誘います。
アオバト/三次市
全体が緑色をした羽が特徴のアオバト。オスは肩の部分がブドウ色と、メスとは異なる美しい色彩を見せてくれます。山地から平地まで、様々な環境に生息するアオバトですが、特に果実が豊富な広葉樹林を好み、そこで群れを作って生活しています。一部の個体は冬になると暖かい地方へ移動しますが、多くは日本に留まって越冬します。興味深いことに、東北地方ではその特徴的な鳴き声から「魔王鳩」という呼び名で親しまれてきたようです。
オキナグサ/三次市
オキナグサは、本州、四国、九州の日当たりの良い草原や林縁に生える、優しい雰囲気の多年草です。茎や葉全体を覆う白い毛は、その印象をさらに深め、まるで冬枯れの草原に舞い降りた雪のようにも見えます。近年は開発や乱獲などにより自生地が減少し、その姿を見る機会が少なくなっています。日本の原風景を彩る貴重な植物として、オキナグサの保護が求められています。
ヤブツバキ/山口県長門市
北長門海岸国定公園では、冬から春にかけて鮮やかに咲き誇るヤブツバキが自生しています。日本を代表する花木の一つであるヤブツバキは、特に温暖な北長門海岸のような地域では、海風に揺られながら力強く花を咲かせ、冬の寒さを彩ります。厚く重なり合った花弁と、中心に集まる黄金色の雄しべのコントラストが美しく、豪華な印象を与えます。