2021年度放送分

卵を守るのはオスの仕事/呉市

北海道から九州までの各地の沿岸でごく普通に見られます。水深1mから20~30mの海藻がたくさん生えている浅い岩礁帯に生息します。産卵期の10~12月を迎えるとオスは劇的に変化します。産卵期にはオスが縄張りを持ち、メスに求愛運動をします。このころ迷彩色だった体色が鮮やかな黄色に。この婚姻色は産卵期が終わると消えます。メスは卵を産み付け、そのまま去っていきますが、父親であるオスには厳しい子育てが待っているのです。子育ての期間は卵が孵化するまでのおよそ1ヶ月。この間、全く無防備な卵が虎視眈々と狙われているのです。ちょっとでも父親が油断しようものなら、大切な卵が襲われます。

黒い顔の訪問者/鳥取県米子市

クロツラヘラサギは全長約75cm、体重2,000gほどのコウノトリ目トキ科の野鳥です。東アジアのみに生息する世界的な絶滅の恐れがある生き物です。世界的にも数が少ない希少な鳥で環境省のレッドリストのうち2番目に絶滅の危険性が高いといわれます。朝鮮半島や中国の離島で繁殖し日本や台湾などで冬を越します。干潟などでヘラ状のくちばしを左右に振りながら採食します。主な食べ物は魚類や甲殻類など。米子水鳥公園には1995年の開園以来毎年1~2羽のクロツラヘラサギが飛来します。

雪上で用心深く/北海道

エゾクロテンは、道内に生息する警戒心の強い小動物です。国内では北海道にしか生息していません。主に樹上で活動し、休むときは樹洞などを利用します。冬眠はせず、一年中、昼夜に関わらず活動します。雑食性で小型哺乳類、鳥類、両生類、昆虫などを食べます。かつて明治時代までは道内全域に生息していました。とはいえ、テン類につきものの毛皮乱獲により、一時絶滅危惧種となりました。高級毛皮の素材として高く売買されました。大正時代の1920年にエゾクロテン禁猟が宣言され現在に至っています。

牡蠣いかだが ゆりかご/江田島市

広島湾を潜ってみました。冬の味覚の代表、牡蠣。その牡蠣いかだの下は一体どうなっているのか?そこには小魚がたくさん生息。まさに、ゆりかごです。幼魚や小魚は大きな魚に狙われることが少なく成長できます。

海岸に咲く野菊/山口県萩市

ホソバワダンは本州の島根県・山口県の日本海側から琉球に生育する多年草。海岸の岩場などに生育する。この仲間は千葉~静岡辺りまでの海岸ではワダン、静岡~日向市辺りまではアゼトウナ、それより南ではホソバワダンと環境に応じて変化した形質に合わせて和名も変化しています。

瀬戸内のファッションショー/広島市

ウミウシは、貝殻をもたない巻き貝の仲間であり、日本近海には約1400種類が棲息するといわれています。数あるウミウシの研究著書やガイドブックに、瀬戸内海のウミウシが記載されていないのです。ある調査によると、水温と密接な関係があることが分かった。また、冬から春にかけて、多彩なウミウシが観察され、この時期、交尾活動・産卵も多く観察されています。

ハハジマメグロ/小笠原・母島

母島列島にのみ生息する、メジロよりひと回り大きめのハハジマメグロ。小笠原は鳥の種類自体は少なく、それぞれが独自の適応を遂げているのが特徴です。小笠原諸島の中でも母島列島の3島にのみ生息しています。現在メグロの主要な生息地となっている母島は有人島で、農地開発による森林減少や、移入種であるネコの捕食などの影響が心配されています。そのため、メグロの絶滅を防ぐためには、早急に適切な保全策を講じる必要があります。

ダイセンキャラボク/鳥取県

大山山頂付近で一番目につくのが「ダイセンキャラボク」の群落で、北西に向いたなだらかな一面を占めます。この大群落は世界的にも貴重です。常緑の低木で高さは50cmから2mと低く、幹は直立せずに斜に立ち、根元から多くの枝が分かれて横に大きく広がっています。秋になるとほの甘い淡紅色の実がなります。周辺斜面の自然崩落に伴う群落の保護が課題となっている。

命をつなぐ夏/アラスカ

アラスカの川に生息するサーモン。6月と8月に最初に産卵し、約2週間後に死にます。ふ化した稚魚は3月から7月にかけて、自由に泳ぐようになった直後、海に移動します。彼らは1年から3年かけて海を非常に長い距離を旅してきます。アラスカには何百ものサーモンの種がいるといわれ、減少しているものもあれば、増加しているものもあります。そんな個体が産卵する川が流れる森林の保護も行われています。

イクメン父さん/山口県下関市

アオゲラは屋久島から本州に分布する日本の固有種で、比較的身近なキツツキです。おもに広葉樹林に生息し、木から木へと飛び移り、昆虫類やクモ類をつついて食べています。木に巣穴を開けて巣を作り、オスとメスが交互に食欲旺盛なヒナに給餌します。繁殖期にはつがいで行動し交代で子育てをします。

神の島で求愛ダンス/廿日市市

夏から秋は干潟にすむカニたちの活動も活発さを増す季節。ハクセンシオマネキは甲羅の幅が2~3cmくらいの横長のカニです。オスは片方のハサミが大きくて白いので、よく目立ちます。彼らは自分の巣穴を作り、巣穴周辺の砂をさかんに口に運んで食べています。夏は彼らの恋の季節でもあり、オスはさかんに巨大なハサミをふり回しメスを誘うウェイビングという行動を見せます。県内では、沿岸部や島しょ部に分布しています。しかし、海岸整備などに伴い護岸が造成されるため、満潮のときに砂浜が見えなくなる干潟が増えています。そのため、干潟の高潮域に生息するハクセンシオマネキの生息場所が少なくなっています。

刺さないクラゲ/インドネシア

サンゴ礁の島の中にできた「マリンレイク」と呼ばれる珍しい湖の1つが、インドネシアにあります。昔は海だった場所が隆起して閉じ込められた湖です。「ジェリーフィッシュレイク」とも言われ、ここにいるクラゲの種は4つ。海から隔離されて進化したため、外敵を刺して撃退する能力を失ったといわれています。海にいる天敵と出会うことがなくなり、身を守る手段を使う必要もなくなったのです。そんな「無害クラゲ」の数は数百万とも推定され、世界から観光客がここを訪れます。一方で、クラゲ生態系はくずれやすく、その脅威となるのは温暖化、もう1つは、観光客が増えたことです。

水辺の子育て/山口県山口市

湖や池、内湾など水面の穏やかなところに生息するカイツブリ。日本では全国に分布しています。足には水かきがあり泳ぎます。潜るのが得意で小魚やエビ類を獲ったり、水草付近の昆虫を食べたりします。水草や杭、葦の茎などに浮いているような巣を作ります。春から夏にかけて卵を産み、生まれてきた雛はすぐに泳ぐことができます。小さい雛を外敵から守ったり温めたりするために、親鳥が雛たちを背中に乗せて泳ぐことも。親鳥から餌の獲り方を学びながら成長していきます。

オアシスに集う/ナミビア

ホロホロチョウはサバンナや農地などの低木や樹木が散在している暖かく乾燥した生息地で繁殖します。地上で暮らしますが、抱卵中のメスを除いて夜間は樹上で眠ることもあります。多くは群れを形成し通常は約25羽になることも。1日で10キロ以上歩くことができます。彼らの体は走るのにとても適していて、荒れた地形でのダイナミックな安定性を維持できます。

世界遺産の名花/小笠原

島の誕生以来、一度も大陸と地続きになったことがない小笠原諸島では動植物が隔離された環境で進化をしてきたため、他の地域では見られない固有種が数多く存在し、植物では自生種の約5割が固有種とされています。ハハジマノボタンは母島のみに自生します。

ノリウツギ/北広島町

ノリウツギは日当りのよい山地など全国で普通に生えている3~5mほどの低木で、アジサイと同じ仲間です。ただ円錐形の花序(花房)をもつため開花時の趣は一般のアジサイと少し異なります。開花期もアジサイより遅く、花の少ない夏にはありがたい種です。湿地や泥炭地などでよく見られます。

カザリオウチュウ/ベトナム

全体的に黒一色で、自分の体よりも長い尾羽が2つ左右両端から伸びたワイヤーのようなカザリが付いているのが特徴的です。全長30-65cmで尾の長さによって全長は大きく変わります。13の亜種があり、そのうち3つの亜種がベトナムに地域に生息しています。ふだんは低地の湿った広葉樹の常緑樹または落葉樹の森林で暮らしています。

瀬戸内海/廿日市市

私たちの身近な海って、どうなっているんでしょう?そんな思いからカメラを沈めてみました。宮島をのぞむ瀬戸内海。水の中に潜ってみると…。なんとも多くの魚が生息していました。中にはコブダイの姿も。普段目にすることのない瀬戸内海の姿を見ることができます。

タンナトリカブト/庄原市・道後山

西日本から朝鮮半島に分布し10月に紫色の花を付けます。トリカブトは北半球にしかなく、洋の東西を問わず、毒草として名高い種です。中国地方では最も多いトリカブト。谷筋や林縁などに比較的よく目立った花を咲かせます。近年、林内にも生育することがあるが、森林が発達して林内が暗くなると生育は困難であり、少なくとも花を咲かせるまでにはなり難い。

清流の初夏/鳥取県米子市

大山の尾根と丘陵の伏流水を源流とする宇田川。清らかなせせらぎ一面を彩るのはバイカモ。梅の花に似た、白い小さい花を5月中旬から9月下旬まで咲かせます。バイカモは河川上流部、湧水起源の水路、湧水池など、流れのある15℃前後の水温が安定している環境でなければ生育できないといいます。

小さな繁殖地/山口県山口市

干潟で繁殖期を迎えたシロチドリの姿が。海岸や河口の砂地、干潟で繁殖し群れます。瀬戸内での繁殖状況については情報が少なく、かつて高度成長期にしばしば見られた場所が減少。シロチドリが繁殖することも少なくなりました。そんな中、阿知須干潟地に生態系を保全するために自然観察公園として生息地が残されています。

長門峡に咲く/山口県

新緑の季節を迎えた長門峡。峡谷に咲く可憐な花・サツマイナモリをみつけました。暖地の湿った林の中に生える常緑多年草です。地下茎がのびてしばしば大群落をつくります。

ダム湖の小さな真珠/広島県北広島町

周囲27キロの聖湖には多くの川が流入しています。その1つの川を遡上する小さな魚・ワカサギ。産卵期の春になると大群をなして河川を遡り、水草や枯れ木などに付着性の卵を産みつけます。卵は1mmほどで、1匹の産卵数は1000粒から2万粒にも達します。悲しいことに産卵を終えた親魚は死んでしまいます。近年、産卵場所の環境変化で全国的に産卵遡上が見られなくなっています。

サバンナに生きる/ナミビア

チャクマヒヒは、アフリカ大陸南部のサバンナなどに生息します。昼行性で、果実や葉、昆虫、卵、花、種子など何でも食べる雑食性です。アフリカ南部にはサバンナや乾燥林が広がりますが、チャクマヒヒはそういった環境にも適応しています。しかし、サバンナにはライオンやヒョウなどの大型肉食獣も生息しています。これら捕食者に対し、集団で対抗し身を守ります。

おしゃれな黒ネクタイ/北海道

鳥の中でもいち早く春を告げるシジュウカラは、全国に分布している鳥です。平地から山地の林に棲みますが、市街地・住宅地で見ることも多いです。巣は木の穴につくりますが、人工的な狭い穴にもよくつくります。春から夏にかけて昆虫類を探し、秋から冬は落葉をはねのけて昆虫や小さな実を割って捕食します。シジュウカラの個体の増減は、都市の生態系がバランス良く機能しているかどうかのバロメーターになるといわれています。

エゾモモンガ/北海道

夜行性で時には空を滑空する動物「モモンガ」。北海道に生息するものは「エゾモモンガ」と言われています。平野部や高山帯の森や林に生息。さまざまな場所を生活の場とし森林をはじめ、民家の屋根裏を巣とすることも。

芦田川/広島県府中市

備後の母なる川・芦田川。国土交通省によると、芦田川は中国地方を流れる13本の一級河川の中で1973年から38年間連続で水質ワースト1位でした。最新の調査でも結果は変わっていません。そんな川にも、なんと60種以上の淡水魚が棲息していることが判明。中には、広島と岡山にしかいない魚などとても貴重な生き物もいます。

サルの楽園/マダガスカル

インド洋の孤島、世界で4番目に大きい島・マダガスカル。他では決して見ることのできない独特な生き物の宝庫です。この島独特の原始的なサルが数多くすんでいます。2本足で横飛びをするベローシファカ。多くの時間を地上で過ごすワオキツネザルなどは島の固有種です。