第463回
場所:広島ホームテレビ 本社 特別会議室
オバマの17分 ~当事者たちの証言~
放送:2016年12月29日(木) 午後25:25~26:25
制作:広島ホームテレビ
番組について
原爆を落とした国の現職大統領が、落とされた街の慰霊碑へ―。71 年という年月を経て被爆地で行われた17 分間のスピーチから見えてくるものを検証。アメリカ・オバマ大統領の広島訪問は”政治的イベント”か? それとも未来への第一歩か? を考える。
71 年前、原爆投下を命じたトルーマン大統領は当時「広島は軍事拠点だ」と強調した。しかし、オバマ大統領のスピーチでは”普通の人々”が犠牲になったことを示した。その内容にはどんな意味があったのか? 原爆投下についての見解に変化はあるのか?
「原爆投下が戦争終結を早め、多くの命を救った…」。アメリカに根強く残る”原爆神話”。改めて当時を検証しつつ、今、アメリカでどんな変化が起きているのか?を取材した。去年、アメリカ政府はマンハッタン計画関連施設を国立歴史公園に指定した。しかし、広島原爆を製造した研究所があるニューメキシコ州ロスアラモスは、そのこと自体を”街の魅力”として発信し、観光の目玉にしている。街の”今”を取材した。
今回のオバマ大統領の広島訪問でもっとも象徴的な映像として全世界に報道されたのが、被爆者との抱擁シーンだった。この被爆者は米兵捕虜のことを調べ続けている歴史研究家の森重昭さんだった。実は当初、アメリカで存命の元米兵捕虜が大統領に同行して、広島訪問をする案があった。番組では、94歳になる元捕虜の男性を取材。どういう経緯だったのか? また、なぜ突然のキャンセルとなったのか?
オバマ訪問の2日前。日本被団協に、外務省から1本の電話が入る。「演説の場に参加してもらいたい」。突然の依頼だった。代表委員を務める岩佐幹三さんは、「大統領といえども、1人の人間。対等に話をしよう」と考えていた。しかしーホワイトハウス高官、アメリカ側が招待しようとした元米兵捕虜、そして、演説の場に居合わせた被爆者―。オバマ演説から7ヵ月、歴史的訪問に関わった”当事者”たちの言葉から見えてくるものとは?
合評での意見
- 「オバマの17分のスピーチ」が持つ意味を多角的に浮かび上がらせる内容だった。
- 取材対象が多角的にわたっており、知らないことをたくさん教えてくれた力作であった。
- 広島が重要な軍事拠点だというトルーマン大統領の冒頭の肉声に驚いた。初めて知る内容であった。
- 問題意識の高い意欲作だけに、深夜1:25からの放送は正直さびしい。広島の放送局として矜持を持って編成して欲しい。
- 被爆者のインビテーションの席の順番、米軍元捕虜が日本に来ることが出来なかったことなど、興味深い問題を取り上げていたにもかかわらず、中途半端な説明で残念であった。
- 若い人の間で原爆神話に反対する人が増えているときくが、どの程度広がりを見せているのか知りたい。
- 以前取り上げたトルーマンの孫のダニエルさんの感想を聞いてみたい。「レガシー創り」の持って欲しい。
- 被爆に特化するのではなく、戦争という大きなテーマに枠を広げて取り組んで欲しい。広島のテレビ局として世界に通じる番組を期待する。
- 問題提起をするというより、オバマ大統領の広島訪問の意義自体に疑問を投げかけているかのような印象になっていた。