放送番組審議会

第490回

開催日:2019年9月17日(火)
場 所:広島ホームテレビ特別会議室
【課題番組】
テレメンタリー2019
「故郷と生きる ~西日本豪雨 被災集落の1年」
番組について

去年7月、西日本を襲った豪雨災害。広島県では関連死を含めて138人が死亡している。呉市の山あいにある24世帯の市原(いちばら)地区でも住民3人が犠牲になった。災害への恐怖もあり住民が離れる中、復興と進み始めた市原地区。小さな集落が何に悩み、どう歩もうとしてきたのか、1年間を見つめた。

 

出席委員

前川功一委員長、小川富之副委員長、前田昭委員、見延典子委員、河合直人委員(欠席・レポート提出:大井美恵子委員、藤本慎介委員、山平慎一郎委員)

合評での意見
  • 災害などのドキュメンタリーは、被害の大きさを記録に残しておくやり方と、復興に向けての活動を通じて問題提起をすることの二つだろうが、今回の番組は、そのどちらでもない、復興に向けた変わり目を上手にまとめていたと思う。資料としては物足りない点はあるが、主人公を絞り、限られた時間の中でわかりやすかった。
  • 「復旧と復興は違うんだ」ということを思い知らされた番組だった。復旧は、東日本大震災も、今の千葉の停電でも、政治家が出てきたり、ボランティア活動が取り上げられたり…。でも、復旧は終わっても、復興は、心の復興も含めて、非常に長い時間がかかる。多くの人が知ることにならない復興を取り上げたこの番組は、よかったし、行政の人がみてどうするか、という点でも役立つと思う。
  • (一言でいうと)非常にいい番組だった。災害という土俵の上で、主人公をフォローしていく中で、いろいろなものを横糸で織り込んでいる30分のドキュメンタリーで、美しい景色が随所にあって、心が洗われるようなところがあった。
  • 災害の番組をたくさん見てきたが、それらは原因究明や対策に焦点を当てたものや、行政の対応はどうか、家族、個人の心情など心の問題を扱ったものなど、いろいろなタイプがあるが、そのいずれでもなかった。ある意味全部を扱った感じさえする。1年間で、の場面を切りとるか大変だったと思うが、場面がたくさんあって、逆に、その訴えが伝わってこなかった…。

(レポートより)

  • この番組は、災害の悲惨さを語るだけでなく、そこからどう成長していくか、勇気を与えてくれる番組だと思う。人は、ひとりでは生きていけない、周りの皆に支えられて生きていることを改めて感じる番組だった。
  • 被災集落の1年が、四季折々の印象的なカットや風景をふんだんに交えた描かれている。準備期間の長さと取材の蓄積、登場人物との関係性がうかがえる番組だった。
  • ヘリによる救助の様子、豪雨で亡くなった父親の生前の動画、父親の遺体が見つかった場所へ赴くシーン、姉家族との暮らし、初詣、父が8年前に植えた桜が咲き誇り、久しぶりの実家で花見をするシーンなど、どれもある種の「特ダネ」といえる。