放送番組審議会

第501回

開催日:2020年11月17日(火)
【課題】
「テレメンタリー2020 バラマキの果てに~河井事件 混乱の広島~」(9/26放送)
出席委員:

前川功一 委員長、大井美恵子 委員、河合直人 委員、藤本慎介 委員、東山浩幸 委員、見延典子 委員、石井暖子 委員

 

合評での意見

<全体的な評価点>

  • 買収事件の全体像を浮かび上がらせながら、河井夫妻側の買収罪(供与罪)と被買収者の買収罪(受供与罪)に焦点を当て、金銭を受け取った側の買収罪(受供与罪)対象者のうち、辞職した者と辞職していない者を取り上げていた。この事件全体に共通する政治家の「言い訳」をクローズアップすることで、視聴者の関心を喚起し、選挙制度・政治・民主主義等について考えさせる番組となっていた。
  • 被買収者の2人のインタビューは、言い訳のようだが、国会議員と地方議員の関係がわかりやすく説明しており、この事件が起きた背景をきちんと捉えていた。

<要望・改善を求める点>

  • 公職選挙法第221条第1項で、買収罪について、「当選を得る、又は得させる目的」で、「選挙人又は選挙運動者」に対して「金銭等の供与」をする事が規定されているわけである。番組の中で、この点について、どこかで明示する必要があった。
  • 自民党本部から提供された1億5千万円について取り上げてほしかった。
  • 溝手候補者との関わりで、自民党本部と自民党広島県連、当時の安倍首相と菅官房長官の選挙への関与の扱いをどのように取り上げるかについて検討する必要があった。
  • 裁判が進行中であり、推定無罪なので自重したのか、河井夫妻に優しい内容だった。
  • 被買収者のことは「処分はされていない」で終わっていた。関心があるところなので何らかの説明がほしかった。
  • 物足りなさを感じた。“政治と金”の問題に切り込むのでもっと追及する姿勢がほしかった。被買収者に寄り添っている印象を受けた。農作業シーンなどの紹介は、“いいおじさん”という印象を与えており違和感を覚えた。「この人はいい人ではないか」と思い、同情しそうになった。
  • 番組内容を喩えるなら、「池に石が投げ込まれて波紋になる様」を取り上げていた。被買収者の2人は波紋だが、視聴者が見たいのは池や石。それらが曖昧だった。裁判中や本人が認めてないということが理由になるのだろうが、河井克行被告には取材していない。克行被告の人間像、人物像に迫った報道を見たい。その辺が物足りなかった。河井夫妻に寄り添っている感じがした。ジャーナリストとして、一番強いところに飛び込んでいってほしい。
  • 今回の事件は特殊なものではなく、全国で起きているものだと匂わせていた。裁判で新たな事実も出てくると思う。続編を作ってほしい。

以上