第503回
開催日:2021年2月16日(火)
【課題】
「ドキュメント広島 伝えたいこと」(2020/12/27放送)
出席委員(敬称略):
前川功一、大井美恵子、藤本慎介、東山浩幸、見延典子、石井暖子 ※河合直人(レポート提出)
合評での意見
【総合批評】
- メディアには「大災害を風化させない」という大きな役割があり、それをきちんと果たしている点で大いに評価できる。
- 一人の遺族、一人の女性の声を6年間にわたって段々と聞くことで、心境の変化が非常によくわかる。伝えたい気持ちが徐々に強くなっていた。非常に評価できるいい番組。
- 命を守る報道が、注意喚起だけではなく生きる大切さにつながっていくことを実感できた。
- 災害から10年後の2024年8月にどんな番組ができるかを楽しみにしたい。一つの出来事を時間的な流れの中でずっと追っていくことが非常に大切で、その視点で制作した点を非常に高く評価したい。
- 番組の前半は女性の心情吐露や子供2人の性格などに割かれる。タイトルの「伝えたいこと」に関する部分は後半だけ。しかし、被災後のショックから取材を受けるに至った心境の変化や時間の経過、子供への思いなくして伝えたいことにはつながらない。思い切った時間配分だとは思うが、効果的であった。
- 何か大きな事件に巻き込まれたときの定番のような作り方。そうかといって非常に悪い印象を持ったわけではなく、可もなく不可もなくできている。それは、焦点がぼけているからだと思う。
- 災害に対する対策をこれで促そうとしているのか、このご家族の災害を受けた後の立ち直りを伝えて災害の悲惨さを訴えたいのか、番組の意図がもう一つよく分からない感じがした。
<批評を受けた制作側の説明>
- 女性の中で、「前向きに生きられることを自分たちの姿を通じて伝えたい」という思いと、「自分が経験したことや自分の後悔を伝えることで避難意識や災害に対する怖さを知ってほしい」という2つの思いがあったので、両方を伝えたかった。
- 取材対象者が後世に伝えることが大事。被災当時を取材して終わりではなく、節目だけでなくとも、その後の人生まで追って取材する責任の大事さを感た。
- 被災者や遺族一人一人のお話、生き方をしっかりと追って伝えていく。もしかしたら、それが激しい映像を使わないリアルさにつながっていく。そういった報道ができるようになるといい。
- 6年密着してきたことが逆に優しい番組になっているのではないかという指摘は納得がいく。確かにどうしても感情移入してしまっており、フラットに作れたのかどうなのかと、今考えている。このバランスは凄く難しい。
以上