第508回
開催日:2021年7月27日(火)
【課題】
「ジェンダー平等のためにテレビのできること」
出席委員(敬称略):
前川功一、小川富之、大井美恵子、東山浩幸、見延典子、河合直人、石井暖子
合評での意見
【総合批評】
- テレビ局であれ、やはり体制自体が男性中心の思考になっているのではないか。
- 女性の役員、もっと重要なのは制作現場の責任者、「こうしたものを取り上げよう」「こうした企画をしよう」「このニュースで行こう」と決める立場の人に女性をもっと増やすべき。ぜひ制作現場で意識してほしいのは、女性の感覚。「こうした視点も必要ではないか」「こういう表現は違和感がある」といった声を大事にしてほしい。
- 少し前に「生理と貧困」問題の話がやっと世に出た。それまでは「そんなのはニュースではない」「それは視聴者が望んでない」と思ってきたことでも、少し立ち止まって、大事にしようと考えてほしい。
- 「女の子はこうであるべき」「男の子はこうでなければいけない」と思う人はメディアからの刷り込みによるものが大きい。「あなたはありのままでいいよ」と発信することが必要。テレビなどマスメディアが発信すると、「自分はこのままでいいんだ」という肯定感を持つ子は多くなってくると思う。テレビへの期待は大きい。
- 例えば、夫を「主人」と呼ぶのは、夫が主(あるじ)という価値観を表したもの。実社会が変わっていくべきなのはもっともだが、現代社会はこのような状況下にあって、テレビはそれを反映して多くの人たちが共有している情報を提供していくというのであれば「主人」という言葉は基本的には問題ない。
- 「主人」という言葉は封建的な意味合いを持って使っているかどうかが問題なのだろうと思う。そういう意識を持っていなくて、単なる「自分の配偶者」という意味合いでもって使っていれば、問題ない。
【批評を受けた制作側の説明】
- テレビや新聞を含めてマスメディアが視聴者や読者にどういう印象を与えるか。マスメディアから受けた、刷り込まれてきた世の中の印象がもの凄く強い。例えば、美容や手芸をもって「女性必見」という表現をする場合、「女性なら美容・手芸に関心があるだろう。男性はそうではないだろう」という前提があることは問題。
- 事実に即したことを伝えるのは、ニュースとして基本であり前提。なぜニュースを伝えているのかというと、「この社会をより良くしたい」と思うから。その社会の現実にチャレンジしていくのも報道の一側面だと思う。大多数の人が思っていることではなくて少数派の意見も伝えるし、新たな動きをキャッチして伝えていくことを我々は日々やっている。したがって、今、このジェンダーの問題に限って言うと、その社会を全て反映すること自体がよいとは思っていない。
以上