第512回
開催日:2022年1月14日(金)
【課題】
「中四国ブロック特番 和牛のギュウッと瀬戸内(愛媛朝日テレビ制作)」(2021/11/27放送)
出席委員(敬称略):
前川功一、小川富之、大井美恵子、東山浩幸、見延典子、河合直人、藤本慎介、石井暖子
合評での意見
【総合批評】
<全体的な印象>
- グルメの魅力とお笑いの要素を交える点は新しい試みで、楽しく観ることができた。
- 同じような食レポが4回続くと、見ているのが面倒になるのだが、その肉の種類の違いとか、芸人がネタを挟みながらプレゼンすることで飽きさせる要素が少なかった。
- 全体として見ると、狙いであるおもしろさみたいなものは伝わった。ただ、もう少し的を絞り、バラエティを入れるのであれば、いろんなタイプの芸人をそろえるとよかった。
- 生産者の愛情、牛のえさ、生活する場所までこだわり抜く執念、そのありがたい命を食させていただける消費者の喜び、そして、どうしたらよりおいしく味わってもらえるかを世に出回るまでいろいろな工夫を凝らした人々の背景がしっかりとわかる構成。
- 4県に共通するテーマで、それぞれの魅力を平均的に出せる牛肉が出て、各地のおいしい和牛の話、各地に関連するタレントに芸をやらせて、鉄板料理に併せて看板メニューといった発想自体はわかるが、それが視聴者にどんな意味を持って、何か残るものがあるだろうか。あまりにも内輪のほうに傾いている。
【批評ポイント】
各県グルメの魅力、笑いの要素を交えた楽しい番組としてお送りできていたか?
- 4県で異なる持ち味のものをチョイスして、その違いを上手く出せていたのは評価できる。
- それぞれが和牛で歴史的な経緯も含めて紹介され、観光について関心を高めるような工夫もあり、グルメの魅力と4県それぞれの特色を出し、連係がよくできていた。
- 生産者からの説明、飲食店のロケや常連客のインタビューがあり、機会があったら現地を一度訪れてみたいと思わせた。
- 県の代表となるお笑い芸人のネタが毎回おもしろく、グルメの番組でありながら、こんなに笑える構成になっているのは初めての試みではないか。
- お笑いは、ほとんどおもしろいと感じられなかった。グルメの番組に、こういう組み合わせをする意味があるのだろうか。
和牛や小島瑠璃子さんといったキャストの魅力が引き出されていたか?
- テンポの良い掛け合いがあり、見ていて飽きがこずに純粋に笑って楽しめた。
- 3者がそれぞれいい味を出していた。小島さんは、雰囲気づくりの能力やコメント力が高い。
- 小島さんは、リアクションなどを含めて、上手く魅力が引き出されていた。特においしさの表現というのは非常に見事。
- 小島さんはボキャブラリーが沢山あるわけではないのだが、そのおいしさみたいなものを眉毛と目の大きさとかで表現されていて、さすがだなと思った。
- 小島さんは、おいしそうな顔をして「おいしい!」と叫びながら食べるぐらいしかやり方がないような感じ。グルメ番組に出るからには、もう少しボキャブラリーを増やして、おいしさの表現を工夫してほしい。
【批評を受けた制作側の説明】
- 番組制作の狙いは、各県の地域の魅力を発信することが根本。その地域の魅力の一要素として今回は肉をフィーチャーし、その地域を取り上げる、地域に目を向けることにより地域を元気にしていこうというもの。そこを大きな狙いとして今回の番組づくりに結び付けた。
- コロナ禍ということもあって、安全管理上、都内での収録。ただ、ロケのVにより、なるべくその土地、風土の空気を織り交ぜながら、それを感じつつ出演者に味わって頂いたという構成にはしたので、そのあたりが伝わっていたらいい。
- 味の特色、和牛やブランド牛の特徴をどうやって伝えるかという点に関しては、スタッフは色々頭をひねっていたところなので、このあたりを評価して頂いたのは非常にうれしい。
- しゃべくり漫才もあればコントもあり、という形で違いが見せられたらよかった。
- お笑いに関しては、まだまだ至らない点があった。
以上