第520回
開催日:2022年10月21日(金)
【課題】
テレメンタリー2022 「それでもボクらは核廃絶」(2022/8/6放送)
出席委員(敬称略):
小川富之、河合直人、石井暖子、井筒智彦、大井美恵子、喜多村祐輔(レポート)、木村文子、東山浩幸
合評での意見
【総合批評】
- 視聴者も改めて核廃絶とその実現の難しさを考えることができたのではないか。
- 広島出身(選出)で核廃絶をライフワークに掲げている岸田首相と高橋さんを軸に展開したのは非常に効果的。
- 日本政府と高橋さんの動きが平行線のままだったような印象。視聴者として見たときに、今後、どうすればいいのかというところも少し示していた方が優しかった。
- テレビから離れている若い世代にとって、同じような世代の子が頑張っている姿を映し出している番組自体が、気になってテレビを見るきっかけになったのではないかと感じた。
- 若者の活動を知らせる、そして核兵器禁止条約に日本が参加していないという問題があるということを知らせるという意味でよかった。
- 核保有国の状況、ロシア・アメリカが圧倒的に核弾頭を多く保有しているという現状、何が課題で今後考える材料は何かということをもう少し盛り込んでもよかった。
- なぜ、日本政府がこの条約に不参加だったか、十分な説明や解説がなく、理解が追いつかないまま番組が進んでいった。
- 対立をあおる描写で、政府を批判したいがために作られた番組かと感じた。
【批評ポイント】
高橋さんの行動や思いと、岸田総理を中心とした日本の動きをリンクするものとして理解してもらえたか
- 核禁止条約自体が一つの進歩だと言えるようなところもあって、一朝一夕にはいかないといったことが伝わった。
- 方向性が違うが、大人には大人の言い分、そして、まだ周りの状況などを考えずに自分の思いを100%通したというのが高橋さんのやり方。岸田総理の立場からすると、そこを100%受け入れることはできないというギャップが感じられ、それぞれの思いがよく反映されていた。
- 高橋さんと岸田総理は同じライフワークを持っているが、行動がこれだけ違うという対比が明確に表れていた。
- 核兵器禁止条約を締結することができないのかという説明がないので、見ている方は何も分からないまま進んだ。
高橋さんの活動が「特別なもの」ではなく、自分ごととして考えるきっかけになるつくりとなっていたか
- 高橋さんの強い思いは、実は森瀧春子さんの活動が原点だったということで、そういった核廃絶の思いを若い世代にずっとつないでいっているという行動が上手く表現されていた。
- 番組には爽やかさがあり若者も見やすい。核廃絶活動の間口を広げるという意味ではいいきっかけになった。
- 高橋さんは本当に立派で、核廃絶活動もこういった特別な人がやるものだというイメージが出てきたのではないか。高橋さんはプロのような感じになってしまった。
- 共感しきれないところもあって、どうやって活動しているのかというのが気になった。例えば時間的なこと、そして経費はどうしているのかということ。
- 日常の中でどのように地続きでつながった平和活動なのかが気になった。人間味のあるところやプロの活動家っぽくない人間らしさみたいな場面があるとよかった。
「核廃絶」を掲げながらも、高橋さんや被爆者の思いとは逆行する動きともみられる岸田総理の姿勢について考える内容となっていたか
- 感情の要素と反対の理性的な面の数字を使った核軍縮の大きな流れ、バックボーンのようなものもあったらよかった。核弾頭の数の推移、核不拡散と言っているが核保有国が増えているといった数字的な背景があった上での日本政府、高橋さんの動きがあったらよかった。
- 双方の取り組みが全然違っていて対立するところを伝えたかったのか、相違点がある中で核廃絶に向かってそれぞれやっていると伝えたかったのか、どちらなのかなという印象。
- 高橋さんの取り組みはかなり地道。でも、岸田総理も地道な行動を取っているが、何も変わらないと思ったから抜本的に何かを変えようとしているのか。そこをもっと説明してほしかった。そういう見方で、最後に相違点を挙げて、それぞれの取り組みがあるというふうになった方が、高橋さんの取り組みがポジティブなイメージになったのではないか。
【批評を受けた制作側の説明】
以上