第521回
開催日:2022年11月18日(金)
【課題】
「日本の祭り 宮島たのもさん~船がつなぐ小さな祭り~」(2022/9/24放送)
出席委員(敬称略):
小川富之、河合直人、石井暖子、井筒智彦、大井美恵子、喜多村祐輔、木村文子、東山浩幸
合評での意見
【総合批評】
- 「たのもさん」を継続するか、中止するかという町内会の様子を通して、ほかの全国の様々な行事がコロナでの休止をきっかけに途絶えてしまうのか、それとも続いていくのか、私たちが伝統行事を守れるかどうかの瀬戸際にいることを改めて突きつけられたように思った。
- ふるさとがなくなる最初の前哨戦は祭りなのではないか。祭りが、きちんと伝承されて続いているということは、ふるさと自体の存亡にもつながる非常に重要なもの。
- 全く知らないお祭りだったので、たまたまテレビをつけていて、この番組が始まったときに、ちょっと見てみようかなと思ったかどうか疑問。最初、宮島の大きいお祭りなのか、小さいお祭りなのかが分からなかった。
- 「祭りは誰のためのものか」という言葉があったが、自分のためだったら100%頑張れる、子どものためだったら120%、150%頑張れるのだなと今回の映像を見て思った。子どもの喜ぶ顔が見たいから、やっぱり継承しよう。みんなが笑顔で、「お祭りっていいですよね」という言葉が色々なところに垣間見えたのは非常によかった。
- 小さな祭りとは言いながらも、住む人々にとっては、その時の思い出も含めて生きている証し。人をつなぐ行事ということで、それだけでも心に訴えるものがあった。
【批評ポイント】
県内でもあまり知られていない「たのもさん」という小さな祭りが、分かりやすく伝えられていたか
- 非常に小さいお祭りだが、伝統があって続けられていたとことが分かりやすく伝えられていた。どういう意味で小さい船を対岸に送られていたか、中に載せるものの一つ一つも、ただの飾りではなく、意味があるということも詳しく伝えられていて、一個一個に重みのあるお祭りだということを知ることができた。
- 「たのもさん」という言葉の語源、何を意味する言葉なのかが知りたかった。
- お祭り自体に参加する人は宮島の人がどれぐらい占めるのか、外からも来るのか、規模が大きいのか小さいのか分からなかった。冒頭に「知る人ぞ知る小さなお祭り」と説明があったが、国の無形民俗文化財でもある。実際どのくらいの規模のお祭りなのか分からなかった。
- 6世帯の子どもたちは残って継ぎたい思いがあるのか、それとも島を出たいのかという内容があると、誰かが何とかしないと本当になくなってしまうかもしれないということが見えただろう。
祭りの継承といった課題が伝えられていたか
- 子どもたちから出てきた「守り続けたいと思っています」という言葉は、この先にポジティブなものが見えるような伝え方だったので、凄くよい伝わり方だった。
- 町内会の人たちは、自分たちの代では終わらせたくない、継承しなくてはいけないということだったが、では継承したい、この楽しいお祭りを何とか伝えたいという思いまでは受け取れなかった。
主催する町内会の住民の「たのもさん」継承に対する思いが伝わったか
- 親子三代で継承する蔦谷さんと、よそから移り住んできた山本さんの船づくりを対比させながら番組が進んでいったが、そのあたりで、いろんな角度から人口による継承の危機をどうやって克服していくのかといった思いが伝わってきた。
- やれたらやりましょうというレベルではなく、どうやったらできるかというのを一生懸命に考えられていたような面持ちと、そのナレーションがよく伝わってきた。
【批評を受けた制作側の説明】
- 題材的には、「たのもさん」は凄く地味なお祭りで、絵的にも火が舞うわけでも、裸で踊るわけでもない。しかし、ディレクターが何度も通うことで地域の人との関係性を築き、色々なシーンの取材ができるようになり、懐に飛び込んで色々な言葉を引き出すことができるようになる。それにより、番組の深みや層の厚さが凄く出ることを改めて感じた。
- 広島には知られざるお祭りがほかにも沢山ある。そういうものを発掘して伝えていければよい。
【放送番組基準の変更】
- 日本民間放送連盟放送基準が一部改正されたことに伴い、広島ホームテレビ番組基準の変更が諮問され、「妥当である」との答申があった。
以上