放送番組審議会

第535回

開催日:2024年4月16日(火)
【課題】
「地球派宣言特番 教えちゃうZOO!~ほのぼの動物園の楽しみ方~」
(2024/3/17放送)
出席委員(敬称略):

小川富之、河合直人、井筒智彦、稲田信司、大井美恵子、喜多村祐輔、木村文子、東山浩幸

 

合評での意見

【総合批評】

  • 誰に向けて作っているのかが明確になっている。番組としてぼやけてない点が非常に良かった。これこそ、まさにローカル局が作る番組として価値が非常にある番組。
  • ぜひ継続してやって制作してほしい。もっといろいろな動物にフォーカスして、もっと見方を教えてほしい。
  • 動物マスターの野崎さんはストレートな子ども向けなキャラではない気がするが、大人目線では良かった。ありきたりな動物ものになりすぎず、ある種ベタで王道な動物をかわいく見せるところと野崎さんのちょっと変わった見方という、そのバランスはよかった。
  • 飼育員の方とか動物学の教授とかではなく、野崎さんを起用されたのがすごく良かった。本当に好きな人でなければこの視点はないだろうなという話が盛り込まれており、聞いていて大変楽しかった。
  • 身近な動物園の良さ、それが「自然界を知る入り口」ということを限られた時間で十分感じることができた。
  • 「自然界を知る入り口」という位置付けを動物園にしているが、若干飛躍があると感じた。絶滅危惧種と自然界を知る入り口がどうつながるのか、何かつながるストーリーがあればよかった。
  • 「繁殖数が世界で一番」というのが、どの動物の何の繁殖数かわかりにくい。より明確に伝えてもらえればよかった。
  • シフゾウの飼育について、「中国の湿地帯に近い環境にして清潔に保つように工夫しています」という飼育員のコメントがあったが、せっかくなので時流に合う加工の仕方があるのではないかと思った。それは、今かなり議論になっているアニマルウェルフェア(動物福祉:動物を快適な環境下で飼育すること)の考え方。
    日本動物水族館協会(JAZA)が今年から全ての加盟施設を評価する方針を出している。安佐動物公園が仮にJAZAによる評価の対策を先行的にやっていればニュースだし、逆にやっていない場合は別の形で報じるというやり方もあるのではないか。子どもたちにもそういった考え方が今広がっていますよというのを添えると、大切だというふうに頭をもたげてる価値観とエンタメの要素を使った情報番組の価値がさらに高まるのではないか。

 
【批評ポイント】

1. 紹介した動物たちの生態は「へ~」と思ったか?

  • 繁殖の方法や育成の環境をどう整えているかというところは、飼育員の実際の声を聞けて、さらに深く学びが得られる形だった。
  • 今まで漠然と動物園に行っていたなという自分の気づきをもらった。逆に言うと、この番組を通じて「へ~」というところや、こういう見方をすればいいんだということを番組から非常にうまく引き出してもらった。
  • 「へ~」というポイントが随所にあった。サルとヒヒの違いはなんだろうということへの答えがあっても良かった気がするが、興味を湧かせている点でそれはそれでよかった。ある程度、自分で調べさせる要素があってもよい。

2. 子どもたちにも分かりやすい内容、伝え方だったか?

  • 視聴者が肩肘張らずにスッと番組に入っていけて、特に子どもも楽しめるといった仕立てはなかなかのアイデア。
  • ナレーションで、動物がこちらに向かって話し掛けているようになっていたのが見ていて面白く、子どもにとってはすごく楽しんで見られるような内容だった。
  • 野村アナと野崎さんの掛け合いの雰囲気が、子どもたち向けということで良かった。ナレーションも分かりやすかったし、テロップもいろいろ工夫していた。
  • 個体を「推し」と呼んでいた。今、一種のはやり言葉でもあるが、子どもたちに限らず、我々もごく普通に日常会話で使っている単語を使いながら紹介するのも面白かった。
  • この番組を通じて、動物園には絶滅を防ぐ目的もあるのだということも知ることができ、そういう意味では教育的な効果もあった。
  • 野崎さんを最初に見た時には、だらしない格好で、この方が番組でしゃべるの?と思ったが、子どもに聞くと、スーツの着用などきちんとした格好よりも、あのような格好の方のほうが親しみが持てるという話だった。よって、「教えてあげるよ」ではなく、「一緒に楽しもうね」みたいな感じが非常に良かった。

以上