放送番組審議会

第537回

開催日:2024年6月25日(火)
【課題】
「政治とカネと契りと議員」
(2024/5/4放送)
出席委員(敬称略):

小川富之、河合直人、井筒智彦、稲田信司、大井美恵子、喜多村祐輔、木村文子、東山浩幸

 

合評での意見

【総合批評】

  • 市議という人々に非常に近い政治家を入り口に、そこに密着する形で描こうとした視点は非常に良かった。
  • 現在の国会の映像と、買収事件のこれまでの映像、パーティーや選挙、事件をうまく結びつけており、政治に無関心な層にも訴えかけている。そういったことは大切だし、意義のあるいい番組。
  • 非常にポジティブな面としては、政治資金の流れのチャート。中央と地方のみならず、ざっくりと視聴者に“政治資金”とはどういったものなのかを伝える手法として効果的。
  • 議員のアンケート結果で9割が「お金は要らない」という回答だったが、これをどう読み解けばいいのか。答えていない過半数の議員は本音では何を考えているのか。定量的に答えがない場合でも、一つ二つインタビューが挟まることにより、そのアンケートの数字に出てこない実態を浮かび上がらせることはできたかもしれない。
  • 政治の話なのでどこまで踏み込むことができるのか難しいと思っていたが、やはり似たり寄ったりで、結局あまり分からなかった。ふわっとした感じだったという印象。
  • 三宅広島市議に白羽の矢を立てたのはなぜだったのか、見ていくうちにだんだん分からなくなった。被買収議員というくくりで彼を取り上げたのか、あるいは彼を政治家の代表する存在として描き切っていたのか、そのあたりが若干分かりにくかった。
  • 最終的にこの番組はどういう問い立てで描かれているのか。お金に焦点を当てているのか、議員のお仕事に焦点を当てているのか、契りという中央と地方の関係性あるいは議員同士の関係性に力点を置いているのか、またはその全てなのか。この強弱が分からないので、最終的に問いが定まっていない印象を受けた。
  • 三宅市議が言っている政治家の仕事というお題目と、実態として彼がやっていることとのギャップが逆に見えてきたので、なぜ高架事業を売り込もうとしているのか、なぜ土地利用についてのアンケートを採っているのかというところを、二の矢、三の矢で聞いてほしかった。そうすると、良い悪いは別にして、実態として政治家の仕事はかなり利益誘導的なものがあり、だからお金が効果的に必要になる局面があると掘り下げることができたのではないか。
  • 最後に岸田総理が出てきた理由が分かりにくく、その解釈のしようがなかった。
  • お金が必要だという立場の方の話を追っていった中で、国民・市民とのずれを感じたという意味ではいい番組だった。しかし、この番組を通して何を伝えたかったのか読み取れなかった。

 
【批評ポイント】

1.議員同士のお金の流れについて。何にお金が必要で、議員にとっての“お金の意味”などは伝わったか?

  • 「政治とカネの問題はなぜ無くならないのか」というのは、見ている人が同じように思うことだと思う。ただ、それに対して答えなり前向きな兆しはなくて、今ある状況をお伝えしましたという感じになっている。せっかく、こういうテーマを取り上げて全国に放送しているので、もっと風穴を開けるような切り込んだ内容であってほしかった。
  • 議員にとってのお金の意味については、何度も見ると、三宅市議の活動と発言には矛盾する部分もあるという印象を持った。だから、三宅市議の考え方の中でのお金の意味はなんとなく伝わったが、ひとくくりに議員にとってのお金の意味が伝わったかと言われると、そこは分からない部分があった。
  • 「何にお金が必要か」というのは、国民にしろ県民にしろ明らかにしてほしい内容なので、もう少し突っ込んだほうが良かった。この議員の選挙費用自体は分かったがレベル感はよく分からない。

2. 「地方政治の現場から “政治とカネ” を考える」をテーマに制作したが、中央政界とは違った、地方ならではの目線で政治とカネを考える番組になっていたか?

  • 主な政治資金の流れの図はすごく分かりやすかった。国会議員にどういうお金が入ってきていて、それが地方議員にどう流れたのかが分かりやすかった。その関係性を元国会議員・亀井静香氏が「親分と子分」と言ったところは理性的にもエモーショナルにも分かりやすかった。
  • よく分からなかった。“政治とカネ”を通じて、私が見ている立場で何を感じ取ったかというと、特にないというのが率直なところ。
  • 岸田総理のインタビューは番組を分かりやすくするという点では良かったと思うが、そこに時間を割かれてしまって、本当に切り込みたかったところに切り込めていない。

以上