放送番組審議会

第545回

開催日:2025年4月15日(火)
【課題】
『ピタニュー』内企画「平和を創る7ピース」
(2025/3/18放送)
出席委員(敬称略):

小川富之、大井美恵子、井筒智彦、奥田亜利沙、喜多村祐輔、木村文子、東山浩幸
※稲田信司(レポート提出)

 

合評での意見

【総合批評】

  • 内容がスッと頭に入ってきて分かりやすい特集という印象を受けた
  • 単発番組は見逃すこともあるが、数回放送される企画だとどこかで見るチャンスがあり、どれか一つを見て良いと思ったらアーカイブから他の回も見ると思うので、この形は非常にいい
  • 鈴木さんは声のトーンも落ち着いているし、表現がすごくストレートで嫌味がなくて、変な比喩もなく、スッと体の中に入ってくるような言い回しがすごく新鮮で良かった
  • 「平和」がテーマの番組は、こう伝えなければいけないというのを取り払って、もっといろいろなアプローチを試行錯誤してもいいのではないか。平和を考えるいろいろな形の種を、いろいろな人に、いろいろな植え方をしていくというのも、ぜひチャレンジしてほしい

 
【批評ポイント】

1. 原爆と平和を考える題材としてマツダとIMP.のメンバーを組み合わせた狙いや効果について、どのように感じたか

  • 広島に縁のない若者に素で考えてもらう、若者が広島の復興を考えるということで、過去から未来へつながるイメージがうまく表現されていた
  • 多くの人が会社で働く日常を送っている中で、なぜ今まで企業という側面から原爆を見てこなかったのかと思い、とても新鮮だった
  • 若年層や『平和』に関心が薄い人にも特集を届けようという狙いがきちんと反映されている

2. 被爆者の体験談を軸とした原爆報道に対し、タレントを起用し「平和」をキーワードに戦争の記憶をつないでいく構成について、どのように感じたか

  • 鈴木さんがどう感じているかを見ることは、原爆にまったく触れていない若者にも与える影響が大きいと思う。平和を考える入り口としてはすごく伝わるものがあった
  • タレントの起用は非常にいいと思う。若い方が、背伸びをせずに等身大で受け止めていくことはすごく大切
  • 企業や場所の復興というものが歴史を尋ねていくことでどんどん出てくるという流れで、これまでのような被爆者の体験談を切り口としているものと違い、新たにたくさん知る内容になっていた
  • 鈴木さんの人柄をもっと深掘りし、平和をどう捉えているのかといったことがあると、鈴木さんが平和について考えている深みが出てきたのではないか
  • キーワードが「写真」であり、若者としては写真をもとに発信していくことはとっつきやすいと思う。しかし、紹介される写真は1枚だけなので、もう少しいろいろなところで鈴木さんが感じ取っているシーンがあるとよかった

3. 実際に番組を見て、平和を考えるきっかけとなったか。ならなかった場合、どのような要素が必要と考えるか

  • 戦争と距離がある若者層にとっては入りやすく分かりやすい内容だった。平和を考えるきっかけにはなったのだろう
  • 平和について明るく考えるのか、過去の悲惨さから考えるのかという切り口が二つある。両方のいいとこ取りはなかなか難しいため、今回の番組構成としてはまとまっていて、これで良かった
  • 広島に来て思ったのは平和に関する報道、番組の多さ。日常的に平和の情報があるのは特有だが、今回の企画のYouTubeコメント欄を見ると、おそらく広島在住ではないであろうIMP.ファンがたくさんコメントをしていたので、この起用の効果はあったのだろう

以上