近年の就活や転職活動において、SPIを対策してない状態で試験に臨む人が増えています。
これは、忙しい日常生活の中で試験対策に時間を割くことが難しいという現実や、試験に対する過度なプレッシャーを避けたいという心理が背景にあります。
しかし、SPIは多くの企業で採用プロセスの一環として行われ、その結果が合否を左右することも少なくありません。
この記事では、SPIを対策してない人でも試験を乗り越えるための具体的なアドバイスや、試験前にやるべきことについて詳しく解説します。
それでは、気になるSPIの実態についてチェックしてみましょう。
就活を有利に進めるためには、SPIやTALの事前対策が大切です。
最近はサイトやアプリに無料登録するだけで、適性検査を受けられるサービスが多数あります。
例えば、OfferBoxは累計100万人の診断結果に基づいた客観的な分析が受け取れます。
28項目の診断結果で、入社後に活かせる自分の強みがわかるので、一度診断を受けてみるのがおすすめです。
また、Lognaviは実際に自分の能力が10段階分布で出るので、自分のレベル感を正確に診断したい人に向いているテストです。
性格や創造力、コミュニケーション能力、知力など幅広い能力が把握できます。
アプリインストール後、名前や電話番号を登録すれば「マイページ」→「webテスト」にてすぐに無料受講できます。
SPI対策してない人は意外と多く、ノー勉チャレンジが普通になっている!?
近頃は、試験の準備に時間を割くよりも他の就職活動やインターンシップ、自己PRの準備などに時間を費やしたいという考えから、ノー勉の状態で本番にチャレンジする人も増えていると考えられます。
しかしながら、SPIは就職や転職活動において避けて通れない壁のひとつです。多くの企業が採用活動の初期段階でSPIを実施し、その結果を重視しています。
「就職白書2023」では、企業が採用基準で重視する項目として、性格適正検査や能力適性検査の結果を重視する割合が高いことがわかりました。
それでもノー勉で挑む人は意外と多くいるのが現状です。
ここからは、SPIを対策してないノー勉状態でも選考に通過できるのかを、SPIの基本情報などを解説しながら考察していきましょう。
SPIの検査内容や受検方法について│能力検査+性格検査で応募者の特性を把握
採用候補者向け適性検査「SPI3」では、基本的に基礎能力検査と性格検査の2種類の検査が実施されます。
また、テストセンター方式やペーパーテストでは、企業の希望によって「英語能力検査」や「構造的把握力検査」を受けることも。
- 基礎能力検査:コミュニケーション、思考力、新しい知識・技術の習得などのベースとなる能力を測定
- 性格検査:環境や状況では変わりにくい行動のベースとなる性格特性を測定
- 英語能力検査:語彙・文法の理解力と流ちょうさをベースとし、4技能での英語コミュニケーション能力を検査
- 構造的把握力検査:物事の背後にある共通性や関係性を構造的に把握する力を測定
基礎能力検査や英語能力検査では、時間内に多くの問題で正答数を出すことが求められます。
そのため、試験の形式に慣れておくよう、事前に対策ができる専門の本や問題集で準備する応募者も多いです。
一方で性格検査や構造的把握力検査では応募者自身の特性をそのまま測定するため、正直に答えることをおすすめします。
これらの検査結果は、企業が求める人材であるか・採用後にどんな部署で活躍するかを見極める判断材料として企業が活用します。
SPIの実施形式は4種類ありますが、ほとんどがテストセンター形式またはWEBテスティング形式です。
- テストセンター:常時全国7都市+オンライン会場を用意し、監督者がいる会場で受検する方式
- WEBテスティング:自宅や学校などのネット環境でパソコンを使って1人で受検する方式
- インハウスCBT:応募企業先で用意されたパソコンで受検する方式
- ペーパーテスティング:応募企業先で用意された会社説明会やセミナーなどに実施しやすいマークシートで受検する方式
新卒採用に多いのは、監督者付きの「テストセンター形式」や遠方に在住でも受けやすい「WEBテスティング形式」でしょう。
一方で中途採用では、1日でテストの実施・結果確認・面接まで完了できる「インハウスCBT形式」がおすすめです。
試験概要
テスト内容 | ・基礎能力検査 ・性格検査 ・英語能力検査 ※ ・構造的把握力検査 ※ ※…応募企業によって実施の有無が異なる |
---|---|
実施形式 | ・テストセンター形式 会場のパソコンで指定日時に受検 ・WEBテスティング形式 自宅などのパソコンで自由日時に受検 ・インハウスCBT形式 応募企業のパソコンで指定日時に受検 ・ペーパーテスティング形式 応募企業の会場でマークシートで指定日時に受検 |
所要時間 | ・性格+基礎能力:65分 ※ ・性格+基礎能力+英語能力:85分 ・性格+基礎能力+構造的把握力:85分 ・性格+基礎能力+英語能力+構造的把握力:105分 ※大卒採用向け、テストセンター受検の場合 |
実施会社 | 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ |
SPIで落ちてしまうと、面接など次のステップに進めなくなる可能性がある
SPIの結果は、企業の選考過程において重要な役割を果たします。
多くの企業がSPIを選考の初期段階で実施し、その結果をもとに次のステップに進む応募者を選定しているからです。
リクルートが提供するSPIでは、結果をもとに応募者の人となりがわかるだけでなく、面接で確認すべきポイントや質問例を提供しています。そのため、合否判定の材料としてだけでなく、1人ひとりの個人面談に備えた対策がしやすいのです。
したがって、SPIは面接に進む前に導入されやすい採用試験でもあり、企業が独自に定める合格ラインに達することができなければ、次のステップに進めない可能性があります。
特に応募者が多く集まる大手企業や人気のある企業では、SPIの結果が合否に影響しやすいです。企業側は限られた時間の中で効率的に多くの応募者を評価するため、SPIを利用して受検者の基礎的な能力や適性を事前にチェックしています。
このような背景から、SPIの対策を怠りノー勉で挑むことは、就活や転職活動においてリスクとなり得るでしょう。
対策をしないことで思わぬところでつまずいてしまい、本来の実力を発揮する機会を逃してしまう可能性があるのです。
とはいえ、性格検査や構造的把握力検査では対策をとらずに素のままに答えることが大切。矛盾した回答が複数出てしまったり、その後の面接で期待していた人物像と違うイメージを植え付けてしまう恐れがあります。
企業側がSPIなどの適性検査の結果を重視するのは、適材適所を見つけるため
先ほども触れましたが、企業側がSPIやほかの適性検査の結果を受けて採用の合否を判定しているのは、応募者が企業内で活躍するための適材適所を見つけやすくするためでもあります。
公式サイトでは、SPI3を用いることで、企業が抱える以下の課題を解決できるとされています。
- 効果的かつ迅速に初期選考をおこないたい
- 面接における質問内容や見極め方を改善したい
- 自社で活躍できる人材かどうか見極めたい
- 内定辞退率を改善したい
- 内定者フォローを強化したい
- 採用活動を振り返り、次の改善につなげたい
- 配属のミスマッチによる早期離職を防ぎたい
(参考元:SPI3が解決できる課題│SPI3)
このように、SPIの結果内容は採用活動の段階だけでなく、入社後の配属先選定時にも活用される可能性が高いです。
応募者の特性と企業内の需要に合った部署に配属させることで、早期離職や内定辞退のリスクを抑え、企業の生産性向上や社員の満足度向上に直結します。
適切なポジションに配置されれば、仕事に対する意欲や効率も高まっていき、組織全体のパフォーマンスも上がるでしょう。
このような背景から、企業側はSPIの実施を重視していると考えられます。
SPI対策してない人は今すぐ何をやればいい?
SPIを対策してないまま試験日が近づいてしまった場合、何を優先的におこなうべきかを知っておくことが重要です。
まず、対策してない状態で試験に臨むことは不安やストレスを増大させる可能性があります。
ノー勉の状態でも自分のもつ実力を最大限に発揮するためには、試験中に不安やストレスを抱えたくないものです。
そのため、できるだけ冷静に、効果的な対策を短期間で実施することが求められます。
試験前に過度な不安を感じると、直前で対策をしても最大限のパフォーマンスを出せない可能性
試験前の不安は、多くの受検者にとって避けられないものです。
しかし、過度な不安を抱えると集中力や記憶力を低下させてしまい、潜在的にもつスキルを十分に発揮することができずに試験中のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、まずは自分の不安をコントロールする方法を知ることが重要です。
この記事では、SPIの本番直前にも活用しやすいストレスマネジメントの実践をおすすめします。
ストレスマネジメントをおこなって、試験前の心を落ち着かせよう
SPIの試験前のストレスマネジメントは、当日に最大限のパフォーマンスを発揮するために非常に重要です。
深呼吸や瞑想を取り入れることで、心を落ち着かせることができます。
まずは「マインドフルネス瞑想」を紹介します。
- 背筋を伸ばして座った姿勢を取る(あぐらもOK)
- 目を閉じる、または視線を斜め前に落とす
- 姿勢を保ちながら鼻呼吸に意識を向ける
- ほかのことが頭に浮かんでも呼吸に意識を戻す
(参考元:一般財団法人 京浜保健衛生協会)
厚生労働省によると、マインドフルネス瞑想によって「不安・抑うつに有効」「不眠を減らし睡眠の質を向上」といった効果があると提唱しています。(参考元:瞑想とマインドフルネスについて知っておくべき8つのこと│厚生労働省)
なお、呼吸に意識を向けているときにネガティブな感情や雑念が浮かんできても、無理に排除しないことが大切です。
考えはそのままにしておいて、再び呼吸に注意を戻すことが推奨されています。(参考元:マインドフルネスにみる情動制御と心理的治療の研究の新しい方向性│広島大,杉浦(2008))
呼吸法はさまざまなパターンがありますが、「呼気ー止息ー呼気」を4・7・8の拍子でおこなう「478呼吸法」がおすすめです。
実際に福岡教育大学が実施した研究では、478呼吸法をおこなったリラクゼーションにより、「落ち着く」「心が整う」といった肯定的な心理変化が多くの学生に現れていました。(参考元:大学生を対象としたストレスマネジメント教育の実践 ─呼吸法─|福岡教育大,岩橋(2023))
このように、マインドフルネス瞑想や478呼吸法を取り入れてみることで、心身の緊張をほぐし、集中力を高めることができます。
これらの対策を実践することで、SPIを対策をしてない状態でも冷静に試験に臨むことができるようになるでしょう。
なお、北海道教育大学の論文によると、ストレスマネジメントの有効性を高めるためには、継続した時間の確保が必要とされています。(参考元:ストレスマネジメント教育の一考察 -保健体育科・保健分野における実践を通して-|北海道教育大,柴田他(2019))
これらのストレスマネジメントを実践する際は、試験本番にいきなり試すのではなく、本番の数日前や数週間前からルーティンとして取り入れることをおすすめします。
さらに、試験前夜には十分な睡眠を取ることが重要です。睡眠不足は集中力や記憶力に悪影響を及ぼすため、しっかりと休息をとることを心がけましょう。
限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮し、良い結果を出すために、ぜひ試してみてください。
【FAQ】SPIを対策してない状況に関するよくある質問と回答
最後に、SPIを対策してない状況に関するよくある質問と回答をまとめました。
SPIの試験結果がボロボロの状態でも、企業から内定をもらえますか?
SPIの結果がボロボロの場合でも、企業から内定をもらえる可能性はあります。
企業はSPIの結果だけで判断するわけではなく、エントリーシートの内容や適性検査など、複数の評価項目を総合的に判断して次の採用ステップへ進めるかを決定しているからです。
特に、コミュニケーション能力やリーダーシップ、問題解決能力といったスキルが重要視される場合、SPIの結果が低くても他の部分でアピールすることで内定を勝ち取ることができます。
また、一部の企業ではSPIの結果をあまり重視せず、面接やその他の評価基準を優先することも。
そのため、SPIの結果が良くなかった場合でも、あきらめずに他のアピールポイントを強調することが大切です。
自分の強みをしっかりと理解し、それを的確に伝えることが内定獲得のカギとなります。
試験終了まで時間が足りないときに、適当に穴埋めして解答してもいいですか?
SPIで時間が足りなくなった場合、適当に解答を埋めるのは避けるべきです。
特に能力検査は、受検者のレベルによって出題内容が変わっていきます。そのため、正答数が多いほど難易度がどんどん高くなるのです。試験終了まで時間が足りないと感じる理由のひとつとして、今向き合っている問題の難易度が高い可能性もあります。
逆に適当な解答を増やすことで正答率が下がり、全体の評価に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。
SPIでは時間配分を適切に行うことが重要です。
解ける問題は確実に解答していくことで、時間内に効率よく正答数を稼ぐことができます。冷静に対処し、焦らずに進めることが大切です。
SPIを対策してない人でも通過する人にはどんな特徴がありますか?
SPI対策をしてない人でも試験を通過することがありますが、そのような人にはいくつかの共通した特徴があります。
①計算問題が得意
数学や計算が得意な人は、SPIの非言語問題で高得点を取りやすいです。日常的に計算を必要とする仕事や趣味を持っている人は、対策をしていなくても自然と問題に対応できることがあります。
②読書の習慣がある
言語理解力が問われるSPIの言語問題において、読書の習慣がある人は有利です。読書を通じて語彙力や読解力が養われているため、対策をしていなくても問題を理解しやすくなります。
③塾講師を経験している
教育や指導の経験がある人は、試験問題に対する適応力が高く、短時間で問題のパターンを見抜くことができます。特に、塾講師の経験がある場合、SPIの形式に慣れていることが多いです。
④SPIの重要度が低い企業を受けている
企業によってはSPIの重要度が低く、他の評価基準を重視することがあります。このような企業では、SPI対策をしてない状態でも他のアピールポイントで評価されることが可能です。
これらの特徴がいずれか当てはまる人は、SPI対策をしていなくても自分の持つスキルや経験を活かして試験を通過することができます。自分の強みを理解し、それを最大限に活かすことが重要です。