ドキュメント広島「1000人の証言から見えた”避難の壁”」
なぜ、避難しなかった? ~広島市7月豪雨避難行動に関する調査より~
被害に遭うとは思わなかったから | 53.3% |
雨の降り方や川の水位から安全と判断したから | 38.6% |
今まで自分の居住地域が災害にあったことがなかったから | 38.0% |
避難するほうがかえって危険だと思ったから | 37.2% |
近所の人は誰も避難していなかったから | 35.9% |
いざとなれば2階などに逃げればよいと思ったから | 30.1% |
テレビやインターネットの雨量や水位などの情報から安全と判断したから | 25.6% |
避難場所での滞在が不安だったから | 16.3% |
誰からも避難をすすめられなかったから | 13.3% |
避難を考えたときには、既に危険な状況になっていたから | 6.8% |
避難勧告や避難指示(緊急)が出たことを知らなかったから | 4.9% |
7月豪雨災害における避難対策等検証会議
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1545352606280/index.html
「広島市 豪雨災害の避難における検証会議」のメンバー 広島経済大学 松井一洋教授(災害情報論)
松井教授は、アンケートを大きく2つに分類する。
ひとつは「自己判断」。(全体の6割)
「雨の降り方や川の水位から安全と判断」「テレビなどの情報から安全と判断」などが、これにあたる。しかし、「被害にあうと思わなかった」「今まで居住地が災害にあったことがなかった」など「自分は大丈夫」と判断してしまう「正常化バイアス」による判断も多い。
もうひとつが、まわりに合わせてしまう「同調性バイアス」。(16%)
「近所の人が避難していない」「避難をすすめられなかった」といった項目があたる。
どちらのケースも「防災リーダー」が人間関係を作り、説得したり声をかけることが大切だとする。
一方、「避難所の課題」を感じさせた回答も多かった。(19%)
「避難するほうが危険」「避難場所の滞在の不安」などが、これにあたり、避難所の滞在しやすさや、避難場所へ行きやすくする工夫、一時退避場所の整備などが求められるという。
ドキュメント広島「1000人の証言から見えた”避難の壁”」
―4年前にも70人を超える犠牲者を出し、その後、土砂災害警戒区域の設定などの対策を行っていたにもかかわらず、なぜ2018年7月に、悲劇は繰り返されたのか。取材で見えてきたのが、避難すべき状況で、避難しなかった、できなかったという「避難の難しさ」。言わば“避難の壁”だ。