BTOパソコンは数年も使うと、最新のゲームやソフトが思うように動かせなくなったり、容量の余裕が無くなったりします。
パソコンそのものを買い替えても良いですが、それだと古いパソコンを処分したり新しいパソコンの環境を整えたりするのが手間です。また、費用もそれなりにかかってきますよね。
そこで選択肢として挙がってくるのがパソコンの「改造」です。問題のあるパーツだけを交換したり増やしたりすることで、かかる費用や手間を最小限にできます。
本記事ではBTOパソコンの改造時に注意すべき点や、メーカーの保証規定などについて分かりやすく解説していきます。
BTOパソコンを改造することはできるのか
結論からいうと、BTOパソコンの改造は可能です。パソコンの処理性能や容量が不足してきたら、パーツを交換したり増設したりすることで使い続ける、というユーザーは少なくありません。
ただしBTOパソコンを改造するにあたっては、パーツの相性や保証切れといったいくつかの注意点を考慮した上で行う必要があります。
なぜなら、そうしないと「パソコンが動かなくなった」「メーカーのサポートが受けられない」といった問題が起きるためです。
改造すること前提でパソコン選びをしておくとラク
改造する上でもっとも注意しておきたいのは「BTOメーカーの保証切れ」です(保証切れの詳細は後述)。
パーツの相性問題はいくらでも取り返しが付きますが、一度切れてしまった保証は取り返しがつきません。
そこでBTOパソコンを購入する際は、PCケースが大きめなものを選びましょう。具体的には「ミドルタワー」以上の大きさがあるケース、もしくは拡張性があるタイプの「ミニタワー」がおすすめです。
ミニタワーよりも小型な、いわゆる「スリムタイプ」や「コンパクト」と呼ばれるタイプのPCケースは改造が前提になっていません。
そうしたPCケースは、メーカーによってはケースを開けただけで保証対象外となるケースもあります。
BTOパソコンを改造するときの注意点
BTOパソコンを改造する際は、以下に示す4つの点に注意しましょう。
- PCをケースのサイズ感を確認する
- 電源ユニットの容量を考慮する
- マザーボードの拡張性を確認する
- 改造するときに壊してしまう可能性がある
PCケースのサイズ感を確認する
BTOパソコンを改造する際、大きな制約となるのがPCケースの容量です。
PCケースが大きければ高性能なパーツをより多く積めますが、小さければ高性能なパーツを1個積むことすらできない可能性があります。
たとえばNVIDIAによる最新のハイエンドGPU「RTX 3090」は、パーツ1個でPCケースの拡張スロットを3つも占有するほど巨大です。そのためRTX 3090をミニタワーのPCケースに組み込むのは難しいといえます。
このようにBTOパソコンの改造は、パーツ同士の相性以前にPCケースのサイズ感が問題になってきます。
相性が良くてもケースに入らなければ意味がないため、改造を検討する際は、まず始めにPCケースのサイズ感を確認しましょう。
電源ユニットの容量を考慮する
BTOパソコンのCPUやグラフィックボードを交換・増設する際、あわせて注意すべきなのが「電源ユニット」の容量です。
CPU・グラフィックボードは新しいモデルほど消費電力が多いです。
そのため、古いモデルから最新モデルへ交換する際、電源ユニットが供給可能な電力をオーバーしないかどうか、必ずチェックしましょう。もちろん、増設する場合も同様です。
マザーボードの拡張性を確認する
マザーボードはCPUやグラフィックボード、そしてストレージなど、各PCパーツを接続するためのパーツです。
BTOパソコンの拡張性はマザーボードの性能によって決まるといっても過言ではありません。
マザーボードの性能をチェックしておかないと、せっかく買ったパーツが使えないということになりかねないため、注意しましょう。
今あるマザーボードの拡張性を確認したい場合は、下記のような項目をチェックしてください。
- ソケット
CPUを載せる箇所のこと。CPUを交換したい場合、そのCPUとマザーボードのソケットの規格は合致している必要がある - メモリスロット
文字通りメモリを挿すための箇所。デュアルチャネルであれば同じ容量のメモリを2枚挿して使え(8GBを2枚、16BGを2枚など)、トリプルチャネルであれば3枚挿して使える - PCIスロット
「PCI-Express」という規格に対応した機器を接続する箇所。グラフィックボードやUSB拡張カード、サウンドカード、M.2 SSDなどが挿せるかどうかはPCIスロットの数に依存する - SATAコネクタ
ストレージを接続する箇所のこと。HDDやSSDがいくつ接続できるかはSATAコネクタの数に依存する
改造するときに壊してしまう可能性がある
BTOパソコンの改造は、パーツ選びだけでなく作業時も十分注意しましょう。高いところから落としたり、汗や飲み物で濡らしてしまったりすると、大事なパソコンが壊れてしまいます。
改造初心者の方は特に「静電気」に気をつけてください。静電気を体に帯びた状態での改造は、水濡れや落下同様に破損の原因となります。
静電気対策としては以下が有効なため、ぜひ実践しましょう。
- 作業前は金属に触れて放電する
- 冬場は加湿器を動かす
- 帯電防止ストラップを手首に巻く
BTOパソコンを改造したときの保証はどうなるのか
BTOパソコンを改造すると、多くのメーカーでは保証の対象外になります。
一部メーカーは「交換・増設であれば対象内」というケースもあるため、BTOパソコンを改造する際は、メーカーのサイトをチェックするか、直接問い合わせるのがおすすめです。
なお、各BTOメーカーのサイトには、改造による保証について下記のように記されています(2021/08/12現在)。
- ドスパラ
機械の改造、クロックアップなどで生じた故障は保証対象外。その他、ドスパラが不適切であると判断した場合も保証対象外 - パソコン工房
故意による破損、汚損、分解、改造またはそれらを行ったと思われる形跡(傷跡・はんだ跡等)が確認された場合と、パーツの相性問題による動作不良は保証対象外 - ツクモ
使用上の誤り、製品動作規定・定格外での使用、改造や分解による故障及び損傷が確認された場合と、パーツの相性問題による動作不良は保証対象外 - マウスコンピューター
増設部品の接触不良、設定の誤り、改造、マウスコンピュータースタッフの指示がないBIOSアップデート、オーバークロック等の動作を行ったことによる故障又は損傷は保証対象外 - サイコム
クロックアップや仕様を逸脱した改造による故障は保証対象外 - フロンティア
改造又は修理などの不適切な作業に起因する障害は保証対象外 - セブン
部品自体の改造・分解を行った場合と、CPU・グラフィックカードなどのオーバークロックによる不具合は保証対象外 - アーク
故意、過失、改造、ユーザーによる部品の交換など、人為的な操作に起因する故障または損壊・損傷は保証対象外 - ストーム
不当改造・不当調整・ユーザーによる部品の交換など、人為的な操作に起因する故障または損壊・損傷
こうして見ると、メーカーによっては文面があやふやで分かりにくいですね。
たとえばドスパラの保証規定は、「機器の改造」というのがどの程度のものを指すのかが具体的に分かりません。
ストレージの増設は改造といえるのか? それともCPUの載せ替えまでやって初めて改造に当たるのか? そういったことをハッキリさせるなら、やはりメーカーに問い合わせるのが確実といえます。
BTOパソコンの改造についてまとめ
BTOパソコンはPCケースがミドルタワー以上のものなら比較的、自由に改造可能です。
ミニタワー型のBTOパソコンの場合、ミドルタワーと比べて拡張性は落ちますが、メーカー製のパソコンよりも改造しやすいでしょう。
パーツを交換・増設するときは、目当てのパーツの性能だけでなく、電源ユニットとマザーボードの性能にも着目してください。最新のCPUや追加ストレージを組み込めるかどうかは、それらの性能に依存します。
また、実際に改造を行う際は以下のような点に気をつけて作業しましょう。事故があった場合は最悪、パーツが壊れてしまいます。
- 水濡れ
- 落下
- 静電気
最後に改造時の保証切れ問題についてですが、大抵のメーカーにおいて改造は保証対象外です。
ただし、どこからが改造にあたるかどうかは保証規定に明記されていない場合があります。これをハッキリさせたい場合は、メーカーに直接問い合わせるのが確実です。
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