BTOパソコンのマザーボード交換は可能?メリットや注意点・交換手順について解説

BTOパソコンを購入して数年が経ち、パーツの交換を検討する方もいるでしょう。

BTOパソコンのマザーボードは自分で交換できます

ただし、自分で交換するには正しい知識と手順を理解することが必須です。そのためパソコンにあまり詳しくない方や自作の初心者が自分で交換するのはおすすめできません。

本記事ではマザーボード交換のメリットや注意点について紹介しています。マザーボードの交換手順も解説しているので、自分での交換にチャレンジしたい方はぜひ最後までチェックしてみてください。

BTOパソコンのマザーボードの役割

マザーボードはBTOパソコンにおいて中枢となる基盤です。CPU・グラフィックボード・メモリ・SSDなどの各パーツは、すべてマザーボードに取り付けられています。

マザーボードの役割はデバイスやシステムのコントロールであり、内部に組み込まれたチップセットとBIOSシステムは重要な存在です。

チップセットとは
チップセットは各パーツとCPUをつなぐ部品でAMDではB450やX570、IntelならH470やZ590などがあります。
BIOSシステムとは
BIOSはCPU・メモリ・SSDなどの動作をコントロールする部分です。例えばキーボードで文字を入力した際にもマザーボードを介してCPU、GPUに伝わり、モニターに表示されます。

一般的にマザーボードの性能はほかのパーツの性能も左右しています。マザーボードを交換することでパソコンの寿命を伸ばしたり、性能をアップグレードしたりすることが可能です。

BTOパソコンでマザーボード交換をするメリット

マザーボードはパソコン内部のすべてのパーツをつなぐ重要な基盤です。マザーボードを交換することでパソコンの性能を向上させられます。

ここではマザーボードを交換するメリットを2つ紹介しましょう。

  • BTOパソコンの寿命を伸ばせる
  • BTOパソコンの拡張性が高くなる

BTOパソコンの寿命を伸ばせる

マザーボードを交換することでBTOパソコンの寿命を伸ばせます

パソコンの寿命は一般的に3〜5年ほどで、室温や湿度などの使用環境により寿命は大きく異なるのが特徴です。

マザーボード自体の寿命は約3年と言われており、マザーボード内のコンデンサが動作不良の原因となることも多々あります。

マザーボード故障の前兆
  • 電源が入らない
  • 画面が映らない
  • BEEP音が鳴る
  • パソコンがフリーズする
上記のような故障の兆しが出たときに、マザーボードを交換すればBTOパソコンの寿命を3年ほど伸ばせるでしょう。

BTOパソコンの拡張性が高くなる

BTOパソコンもパーツを交換することで性能や拡張性を上げられます

しかしマザーボードによって対応するパーツの規格が決まっているため、対応パーツ以外に交換する際はマザーボードの交換も必要です。

AMDのRyzenシリーズを例にすると、第2世代と第3世代で対応するチップセットが異なり、第3世代のRyzenを搭載したいならB450以降のチップセットを用意しなければなりません。

MEMO
マザーボードのチップセットによって、グラフィックボードの取り付けに必要なPCI ExpressレーンやUSBポートの最大数も異なります。

このように現状のパーツでCPUやグラフィックボードのアップグレードができなくても、マザーボードを交換することでBTOパソコンの拡張性の向上が可能です。

BTOパソコンでマザーボードを交換する際の注意点

マザーボードを自分で交換する際にはいくつか注意しておかなければ、正しく交換できない、または交換しても動作しない可能性があります。

ここではマザーボード交換の注意点として以下6つを紹介しましょう。

  • PCケースに収まるサイズか確認する
  • 現状のパーツと互換性があるか
  • 交換するときに故障させてしまう恐れがある
  • 動作不良が起きても自分で解決する必要がある
  • ライセンスの紐付けを事前に確認する
  • BIOSバージョンがCPUに対応しているか確認する

PCケースに収まるサイズか確認する

新しく購入したマザーボードがPCケースのサイズと合わなければ、上手く収まらない可能性があります。

マザーボードのサイズはATX・Micro-ATX・Mini-ATXの3種類です。また一般的なPCケースのサイズは以下のように5種類があります。

PCケースのサイズ
  • フルタワー
  • ミドルタワー
  • ミニタワー
  • キューブ型
  • スリム型

特にミニタワー・キューブ型・スリム型はPCケース内が狭く、Micro-ATXまたはMini-ATXしか搭載できません。

フルタワーやミドルタワーであればどのサイズのマザーボードでも対応できますが、小型のPCケースを使っている場合はサイズ確認をしておきましょう。

現状のパーツと互換性があるか

マザーボードはCPUとほかのパーツをつなぐ存在であり、基板にはパーツの接続部分が設けられています。もし現状のパーツとマザーボードの接続面が合わなければ、ほかのパーツの交換も必要です。

例えばCPUではIntel製とAMD製で接続部分のピンの形が異なります。このためIntel製CPUに対してAMD対応のマザーボードを購入してしまったら、CPUを取り付けるのは不可能です。

またメモリもDDR3とDDR4で規格が異なり、現状のパーツをそのまま使えません。今まで使っていたパーツを新しいマザーボードでも使えるのか確認しておくことが大切です。

交換するときに故障させてしまう恐れがある

マザーボードを交換する際には、すべてのパーツを一度取り外す必要があります。パソコンのパーツは精密な構造をしているので、交換時にパーツを故障させないように注意してください。

例えばメモリは静電気に弱く、直接手で触れないように静電気を防止する手袋を装着する必要があります。

またCPUの取り扱いには細心の注意を払わなければなりません。

特にAMD製のCPUはマザーボードの構造上、CPUクーラーを外す際にCPUが一緒に抜けてしまう(いわゆるRyzenのスッポン)可能性があります。

注意
CPUが抜けたことでピンが曲がると、正常に認識しなくなるので注意しておきましょう。

動作不良が起きても自分で解決する必要がある

BTOパソコンのマザーボードを自分で交換する場合は、ショップで交換してもらうときのように作業に対しての保証がありません

交換後に動作不良が起きても自分でトラブルを解決することが必要です。

注意
マザーボードと対応したパーツであっても、一部の部品と相性が悪いために正しく認識されないこともあります。

またBTOパソコンの保証期間が残っていても、自分でパーツを交換したパソコンは保証の対象外です。BTOパソコンのマザーボード交換は、すべて自己責任であることを覚えておきましょう。

ライセンスの紐付けを事前に確認する

マザーボードの交換時にはOS(Windows 10)がMicrosoftアカウントに紐付けされているかを確認してください。アカウントへの紐付けが適切に行われていれば、マザーボード交換後のOS認証がスムーズです。

ライセンス紐付けの有無はMicrosoftの公式サイトから確認できます。もしローカルアカウントで認証されているなら、Microsoftアカウントへの移行が必要です。

Microsoftアカウントへの移行手順
  1. パソコンのスタートメニューから「設定」をクリック
  2. 設定メニュー内の「アカウント」をクリック
  3. アカウント内のユーザー情報で「Microsoftアカウントでのサインインに切り替える」をクリックして移行が完了
OS認証をスムーズに行うために、マザーボードの交換前にライセンスの紐付けを確認しておきましょう。

BIOSのバージョンがCPUに対応しているか確認する

マザーボード購入時にはBIOSバージョンがCPUに対応しているかを確認しておきましょう。

少し前に発売されたマザーボードを購入する場合は、BIOSバージョンが古い可能性があります。特に新しいCPUを使っていると、BIOSが対応していなければアップデートが必要です。

MEMO
基本的には最新モデルのマザーボードでは「BIOSアップデート済み」「AMD Ryzen 3000 DESKTOP READY」と記載されたステッカーが貼ってあれば、バージョンを気にする必要はありません。

また購入するショップによっては、BIOSアップデートサービスを有料で実施しているところもあります。

マザーボードを選ぶ際は古いものではなく、比較的新しい製品やBIOSアップデート済みの製品をを選ぶのがおすすめです。

BTOパソコンのマザーボード交換する手順

ここではBTOパソコンのマザーボードを交換する手順について解説します。

手順1
PCケースからサイドパネルを取り外す
まずはパソコンをシャットダウンして主電源をOFFにし、PCケースのサイドパネルを取り外します。パソコン内部には電気が溜まっているので、コンセントを抜き5分ほど放置してください。
手順2
すべてのパーツをマザーボードから取り外す
CPUやグラフィックボードなどすべてのパーツをマザーボードから取り外しましょう。AMDのRyzenはスッポンしやすいので、特に取り外しに注意してください。パーツを外す前に写真を撮っておくと、再びパーツを取り付ける際に参考にできます。
手順3
マザーボードをケースから取り外す
マザーボードをPCケースに固定してあるネジを緩め、本体をPCケースから取り外します。I/Oパネルはマザーボードごとに異なるので、このとき一緒に取り出しておきましょう。
手順4
マザーボードの動作確認
マザーボードを交換し、すべてのパーツを取り付ける前に動作確認を行います。電源・CPU・メモリの最小構成だけを取り付けて、BIOS画面が表示されるかチェックしてください。マザーボードに映像出力機能がなければ、グラフィックボードも構成に組み込みます。
手順5
すべてのパーツを取り付ける
マザーボードの動作確認が済んだら電源をOFFにし、ほかのパーツも取り付けてPCケースに固定してください。サイドパネルを閉めて元の状態に戻したら、マザーボードの交換は完了です。

まとめ

BTOパソコンのマザーボード交換はBTOショップに依頼しなくても自分でできます。ただし最低限の知識と交換手順の理解が必要です。

マザーボードの交換はパソコンのスペックや拡張性を高められるのがメリットです。

しかし、自分でパーツを交換したBTOパソコンは、保証期間が残っていても保証対象外になってしまいます。

パソコンにあまり詳しくない方や保証対象外になるのが困る方は、自分で交換せずにBTOショップでのパーツ交換も検討しましょう。

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