TOP > 「ワープする路面電車」制作プロデューサーインタビュー
みなさんが行きたい世界にワープする路面電車なんです。最初、このお話を頂いたとき、新しい商業施設なので、ただ投影するだけのプロジェクションマッピングにはしたくないと思いました。単なるインタラクティブにもしたくなかった。なぜ電車に投影するのか、それを裏付けるストーリー性が欠かせないと思いました。その時、目に留まったのが、六本木ヒルズ展望台で開催されたプロジェクションマッピング「星にタッチパネル劇場」でした。スマホを使ったAR三兄弟*1さんの新しい世界に大いに感銘を受け、今回の作品には、ぜひ力をお借りしたいと思い、「星にタッチパネル劇場」の映像を手がけていたWHITE BASE*2さんと親交があったので、すぐに連絡を取ってもらいました。
最初話を持って行った時は、断られるのではないかと心配しましたが、電車に投影するという面白さから二つ返事で引き受けて頂きました。
まず彼らと仕事をして一番感じたのが「良い作品を作る為には絶対に妥協しない」という強い姿勢です。あたり前とも言えますが、実際に最後まで貫くのは難しいことです。それともう一つ。発想が斬新で、話のテンポに人を惹きつけるものがありました。
時には意見が衝突することもありましたが、みんなが本気でぶつかり合い、そうしたことも含めて、最後まで楽しく仕事が出来ました。
2つあります。ひとつは、先ほどもありました、電車の行先とカラーを来場者自身が選択できるという点です。参加型、体験型にしました。 そして2つ目が「広島らしさ」です。せっかく広島にできる施設ですので「広島らしさ」を要素に加えたいと思いました。広島の風景も映像の中に登場しますが、「ワープする路面電車」の時間の合間にも映像を投影し、様々な広島電鉄のデザインに彩られた電車を楽しんでいただけます。これもまた注目して頂きたいポイントの一つです。広島東洋カープカラーの電車も登場するんですよ。
*1 AR三兄弟
最新テクノロジーを使ったり使われたりしながら、あらゆるジャンルを昭和テイストで拡張する、やまだかつてない開発ユニット。
長男 川田十夢、次男 髙木伸二、三男 弘田月彦。
主な仕事に、六本木ヒルズ『星にタッチパネル劇場』、情熱大陸、ANREALAGE 2017 S/S PARIS COLLECTION、ルイ・ヴィトンコラボなどがある。
*2 WHITE BASE, LLC
プロジェクションマッピングや3D映画、映像による空間演出など、そのプランニングから制作までを行う映像制作ユニット。
2018年4月にオープンした「THE OUTLETS HIROSHIMA」(広島市佐伯区石内東)1階にあるプロジェクションマッピングが話題となっている。会場に設置された本物の路面電車3両の車体と床をスクリーンに見立て、ニューヨークやリスボン、はたまた空や海中まで、さまざまな世界を投影する、その名も「ワープする路面電車」。
イオンモール株式会社からの依頼を受け、広島ホームテレビが、新進気鋭のクリエイターチーム、AR三兄弟とタッグを組んで制作にあたった。来場者が自分の好きな映像を選べるという演出も斬新。また広島らしさにこだわり、広島を代表するアーティスト奥田民生さんの楽曲の使用も実現するなど、今注目を集めている。当マッピングの制作プロデューサー・広島ホームテレビ山下晴史氏に、その制作過程と今後の展開について聞いた。