♠ Episode14｢意識高い系な女｣

｢完璧すぎて怖い｡紀子くんがいればうちの会社も30年安泰だ｣
紀子は､広告代理店に勤めるキャリアウーマン､それでいて美人､釣り合う男は少ない上に基準が厳しすぎる意識の高い女性である｡

大学時代からの友人､ユカにも
｢最悪､結婚とかいい｡認知もいらないから､いいDNAだけ欲しい｣
と現実逃避をする紀子｡

そんな2人の前に現れたのは､高級スーツを身にまとう弁護士一郎とモサい格好のカメラマンを目指す二郎の兄弟｡
一郎は､30で弁護士事務所設立というスペックの高い男性であったがその反面､弟の二郎はカメラマンの卵､収入も不安定な男である｡

数日後､紀子の元に一郎からメールが入る｡
｢来週､食事でもどうですか？｣

返事を保留にしたまま､紀子は､食事に行く前に一郎がどんな男性かをリサーチをしようと二郎に相談する｡
｢お兄さんってどんな人？｣｢彼女は？｣｢大学は？｣
この質問攻めを､不快に感じた二郎は...
｢ていうか､そう言う自分はさ､どんだけいい女なわけ？｣
そう言うと､荷物をまとめて立ち去ってしまう｡

取り残された紀子は､コーヒーを飲みながらイライラを隠しきれないでいた｡
すると､二郎が置き忘れたフォトブックが目に入る｡
手にとってめくるとそこには何枚もの自然写真が...｡
フォトブックを閉じた紀子の頭の中によぎったのは...

｢なんか面倒くさいし､今度一郎さんかユカ経由で返せばいっか｡
でも､もしかしたら大切なものかもしれないし...どうしよう...｣

二郎が置き忘れたフォトブックを手にとってめくるとそこには何枚もの自然写真が...｡
フォトブックを閉じた紀子が選んだ行動は...

>>B:追いかけて､すぐに返す

｢二郎くん､これ！大事なもんじゃない？｣
フォトブックを渡す紀子｡
｢あと...なんかごめん...｣
自分の行動を反省し､歩き出そうとした瞬間､二郎が
｢これ､見てもらえます？｣
とモニターを紀子に見せる｡
｢これすごく自然な笑顔だよ！あとで送っておくね。｣

食事に行く一郎と紀子｡
相変わらず､一郎の将来が気になる紀子であったが､将来についてのプランがしっかりしている一郎に紀子は感心していた｡
しかし､お店を出た後の
｢あの味にしてはちょっと高くない？｣
という一郎の言葉に幻滅し､その日は家に帰ることに...

歩いているとそこには､空に向かって撮影している二郎の姿が｡
｢紀子さんって､会社ではめちゃ壁作ってるでしょ？
仕事ができて､綺麗でお金も稼いで忙しくて...そりゃ彼氏いらんわな｣
その言葉に紀子も正直な気持ちを話してしまう｡
｢っていうかなんだろ｡なんか二郎君の前だとスラスラ話しちゃうな｣

数日後､4人でバーベキューに行くことになりわきあいあいと楽しい時間が過ぎていく中､突然一郎から
｢紀子さん､ちょっといいかな？僕とお付き合いしてもらえませんか？｣
と告白される｡
心の準備ができていない紀子｡

(一郎さんは､ほぼ理想の男性｡私とも釣り合うし､申し分ない｡
けど...これって､好きってことなのかな？
なんか引っかかる部分もあって､悩ましい...本音で誰かに相談したいけど...)

突然一郎からと告白されるが、心の準備ができていない紀子｡
(一郎さんは､ほぼ理想の男性｡私とも釣り合うし､申し分ない｡
けど...これって､好きってことなのかな？
なんか引っかかる部分もあって､悩ましい...
本気で誰かに相談したいけど)
紀子が選んだのは...

｢あのさ､さっき一郎さんにね...｣
二郎に声をかける紀子｡

｢なんか弟的アドバイスとかないの？二郎くんから見て､一郎さんと私､ちょうどいいかな？｣
意識の高さゆえに自分を見失っている姿に二郎がアドバイスするも､聞く耳をもたず席を立つ紀子｡

一郎と会う約束はしたものの､答えを出せずにいた紀子｡
しかし､一郎と話す度
(やっぱ一郎さんって優しくて紳士｡そしてなんといっても将来有望な弁護士｡貯金あり！
私の彼氏にふさわしい人には間違いない)
そんな思いが頭をよぎる｡
ただ...､二郎のことも同時に頭によぎってきた紀子が出した答えは...
｢ごめんなさい｣
私が本当に素直になれて自然でいられるのは......

｢私､二郎くんのことが好き｡素直に自分の気持ちを伝えられただけで､意識高いの卒業できた気がする｣
そう言うと二郎は
｢ごめんなさい｣
二郎にはすでに好きな人がいたのだ。

5年後､
｢いやー紀子さんって超頼れる先輩じゃん｡｣
紀子には彼氏もでき､会社の後輩からも尊敬される存在になっていた｡
二郎とは､良い仕事仲間になり明らかに5年前の紀子とは別人になっていた｡
意識高い女からは卒業し､自然でいる姿が魅力的な紀子になっていた｡

突然一郎からと告白されるが、心の準備ができていない紀子｡
(一郎さんは､ほぼ理想の男性｡私とも釣り合うし､申し分ない｡
けど...これって､好きってことなのかな？
なんか引っかかる部分もあって､悩ましい...
本気で誰かに相談したいけど)
紀子が選んだのは...

｢ねえ､この後時間ある？｣
ユカに声をかける紀子｡

｢あのさ､今日一郎さんに告白されちゃって｣
迷っている紀子に､ユカは
｢絶対付き合った方がいいって｡断る理由なくない？｣
と一郎さんとの仲を応援していた｡

後日､一郎から答えを迫られ紀子が出した答えは
｢こんな私で良ければ...｣

忙しい合間をぬって仲良くデートする紀子と一郎であったが､
｢もしかしてこの人ケチ？｣
一郎の度重なるゆとりのない発言に頭を抱えていた｡

その愚痴と相談を含めて､二郎を呼び出すことに｡
とその隣にはユカの姿が...｡
｢あれ？言ってなかったっけ？俺ら付き合うことになって｣
紀子の知らない間に二郎とユカが交際をスタートさせていた｡
相談をしようと呼び出したにも関わらず､ユカと二郎の幸せそうな姿に何も言えなくなってしまった紀子｡

精神的にも､参っている紀子に追い打ちをかけるかのように､上司から呼び出しを受ける｡
｢君の今やっているプロジェクトを大島くんが引き継ぐことになったんだ｣
かつて紀子に振られた大島はしてやったりの顔｡

納得できない紀子は一郎に相談をするも､適当なアドバイスにイライラし､
｢なんか一郎さんと付き合ってから､全ての運気が悪くなった｣
とあっけなく2人は別れることに...｡


5年後､過去のデキる風はどこへやら...｡紀子は後輩にもバカにされ始める｡
街中を歩いているとそこには二郎とユカ､そして可愛らしい子どもの姿があった｡
通り過ぎる3人の後ろ姿を見送って､絶望する紀子｡
若者とぶつかり倒れ込んだ紀子の目に飛び込んできた､婚活女子を応援するポスターをスマホにおさめるのであった｡