“その時”スピード時速315km…東北新幹線 走行中に連結分離 考えられる原因は?

社会

首都圏と東北を結ぶ大動脈の東北新幹線が19日、5時間に渡ってストップしました。

その原因は、連結した『はやぶさ号』と『こまち号』が、突然、走行中に切り離されてしまうというトラブルでした。

秋田発の『こまち6号』は、盛岡駅で、この駅始発の『はやぶさ6号』と連結。午前7時37分、出発しました。連結が外れ、停車したのは30分後、古川駅から6キロほどの地点でした。

2つの新幹線には、合わせて320人の乗客がいました。

『はやぶさ』が動き始めたのは、停止してから3時間半後の11時半過ぎでした。『こまち』も、ほどなくして動き出しました。

ただ、影響は、広い範囲に及んでいます。
東京と新青森間は、一時、運転見合わせとなりました。東北・秋田新幹線だけでなく、山形新幹線でも運休が出るなど、約4万5000人に影響が出ました。

いままで在来線では、連結器が外れるできごとが、度々、起きています。
最近では、去年11月、静岡の大井川鉄道。電気機関車と客車の間の連結が外れ、緊急停止しました。事故につながりかねない重大インシデントと認定されています。

ただ、今回は、日本最速の新幹線です。
JR東日本によりますと、新幹線の走行中に連結が外れるのは、初めての事態。当時、時速315キロほど出ていたそうです。

『はやぶさ』の乗客
「全く異変はなくて、静かに停車して。いつもの一時的な停止・再開なのかなぐらいの停車。少ししたら、運転士からアナウンスがあって、連結が外れたか、トラブルのような、連結部に異常があるんだろうなと」

『こまち』の乗客
「(Q.衝撃は)そんなになかった。なんで止まったのかなと。(Q.普通にスピードが落ちて止まった)はい」

新幹線をめぐっては、今年、トラブルが相次いでいます。
1月には上野・大宮間で停電が発生。一部区間が終日見合わせとなりました。車両に電気を送る架線が垂れ下がり、新幹線と接触した可能性が指摘されています。東海道新幹線でも保守用車両同士が追突し、脱線する事故が起きています。

本来、駅で行う切り離しの作業。それが、なぜ、走行中に外れたのか。

JR東日本は、連結器の外観に異常はなく、原因は調査中としています。


◆今回の事故が起きたのは、秋田からきた『こまち』が盛岡駅で『はやぶさ』と連結して、東京へ向かっていた車両。途中の古川―仙台間で、連結部分が外れたということです。

『はやぶさ』と『こまち』は、物理的にもつながっていますが、電気系統でもつながっています。それぞれのモーターが作動していて、両方とも力を出す形で走っています。

今回の分離は、時速315キロで走行中に起きました。分離してから、それぞれの車両は5キロ近く走り停車。そのとき、2つの車両は300メートルほど離れていました。

連結部分ですが、双方の突起部分が、穴に差し込まれる形で連結します。JR東日本によりますと、今のところ、特段異常は見られないということで、原因を調査しています。

◆可能性として考えられる原因について、鉄道ジャーナリストの梅原淳さんに聞きました。

梅原さんは「電気系統の故障。日常的に切り離しを行っているため、ボタンの操作で外れるようになっている。通常は、時速5キロ以上の速さで走行中はボタンを押しても外れない。電気系統の故障で誤った信号が送られた可能性がある」としています。

JR東日本によりますと、「安全のため、連結器が外れると、両車両、ほぼ同時に自動的にブレーキがかかる仕組みがあり、それが働いた」としています。さらに、衝突を避けるため、後方の車両のブレーキは前方よりも強くかかる設計となっているといいます。また『こまち』の車掌が、運転席のある先頭車両の隣の車両にいて、異常を感じ、急きょ、先頭車両に向かい、手動のブレーキも使用したといいます。

梅原さんは「一歩、間違えれば重大事故につながった恐れがある」と指摘。「カーブの途中や勾配があったりすると、後ろの車両より前の車両の減速が早くぶつかっていた可能性もあり、しっかり原因究明が必要だ」といいます。