“過去最悪”8億円超の被害 LINEで森永卓郎氏になりすまし…巧妙な手口

社会

 その額、なんと8億円。34歳の男が70代の女性からだまし取ったとされる金額です。その手口は経済アナリストの森永卓郎氏を装うなど非常に巧妙なものでした。

■LINEで森永卓郎氏になりすまし

 中国籍の自称・会社役員の温シャク麟容疑者は去年12月、茨城県に住む70代の会社役員の女性から金の積み立て投資の資金として8300万円をだまし取った疑いが持たれています。

 温容疑者はジャーナリストの池上彰氏などをかたった別の詐欺事件ですでに逮捕されていて、今回は経済アナリストの森永卓郎氏になりすましていたといいます。

 森永氏は投資を呼び掛けることはないと話します。

経済アナリスト 森永卓郎氏
「実は私、SNS一切やっていない。ラジオ番組でも1年以上、私はSNSを一切やっていないので“投資勧誘は全部、詐欺です”と流し続けたんです」

 森永氏は自身をかたった投資詐欺に変化を感じるといいます。

経済アナリスト 森永卓郎氏
「2年ほど前から私の名前を使ったSNS型の投資詐欺がずっと続いていて、だいぶ減ってきたが、ここのところの特徴というのは1件あたりが大型化してきている。それまで私の名前をかたる投資詐欺は全部で20億円ぐらいだったが、ものすごく1件あたりの金額が増えたのが大きな特徴」

■“過去最悪”8億円超の被害 巧妙な手口

 今回、被害に遭った女性はSNS型投資詐欺の被害額としては過去最高の合わせて8億900万円をだまし取られたとみられるのです。

 その手口は、かなり手の込んだものだったといいます。

 警察によりますと、詐欺事件のきっかけは去年11月、被害女性がインスタで「儲かる株を教える」との広告を見つけたことでした。

 広告をクリックするとLINEに誘われ、アカウントを追加すると、そのアイコンは森永氏の写真だったのです。

 被害女性は、このことで本物だと信じてしまったというのです。

 その後、森永氏を名乗る人物から「忙しい」との理由でアシスタントだという人物を紹介されたといいます。

 翌12月、アシスタントから「月に85%利益が期待できる」という金の取引を持ち掛けられます。

 被害女性は1000万円を投資すると伝えます。すると、アシスタントはアプリのダウンロードを指示してきたといいます。

 アプリは投資額と利益が表示されるもので、被害女性はさらに信用し、投資取引担当者に指定された口座に8回にわたり5000万円を振り込んだというのです。

 さらに駅構内で直接、受け子に現金8300万円を手渡したこともあったといいます。

 その後も女性は投資の金だけでなく、手数料や保証金などの名目で金を渡し、結局49回にわたり総額8億900万円をだまし取られたというのでした。

 これまでにも著名人をかたったSNS型投資詐欺は相次いでいます。

 街で聞くと、投資話を持ち掛けられたという声が多く聞かれました。

 70代のころに電話が掛かってきたという女性は…。

80代 専業主婦の人
「『投資があるが、どうでしょうか』と男性が言ってきた。だまされないという気持ちは強く持っていた。投資詐欺が一番怖い。普通の株式とか買ったほうが安全」

50代 専業主婦の人
「メールが直接きたりとかする。『投資はいかがですか』とか。知識がないので、勉強から教えてくれるのであればトライしてみようかなって思う」
「(Q.それが本物かどうか分かる?)難しい。迷惑メールなのかなってすごく迷う」

60代 医療関係の人
「職場に電話が掛かってきて。もちろん、そういうことしないので『そんなにもうかるならあなたがしたらどうですか』って(電話を)切る感じ。そんなおいしい話はない。世の中に」