増え続ける高齢者の“ひとり暮らし” 若者が支援するサービスも

社会

 高齢者の1人暮らしが増え続け、2050年には32の道府県で全世帯の20%を超えるとの推計が発表されました。身寄りのない高齢者をどのように支えるのか、ある取り組みを取材しました。

■増え続ける高齢者のひとり暮らし

 高齢者の家を訪れた若い女性。待っていたのは寝たきり状態で在宅介護サービスを利用している横本勝さん(83)。その目的は…。

横本勝さん
「アプリをね、ちょっと入れてもらおうかなと思っているんだけども。スマホでこっちに電話してくれる。テスト、テスト、テスト」

 自分のスマホにアプリをインストールしたいという横本さん。これは訪問介護サービスではありません。

 操作の方法を教えているのは、大学4年生の遠藤咲季さん(23)。遠藤さんは頼みごとをしたい高齢者とアルバイトをしたい大学生をマッチングする「まごとも」というサービスを使って派遣されてきました。

横本勝さん
「入った?やった」

 16日はスマホやパソコンの使い方を教えてもらいながら会話も楽しんでいました。

横本勝さん
「きょうも分からなかったところが解決できたし、助かります。そういう意味ではね。感謝してます。ありがとう」

遠藤咲季さん
「良かったです」

 現在、介護や支援を必要としている人はおよそ708万人。看護師やヘルパーが高齢者を支えていますが、介護保険では利用できないサービスがあります。

 例えば草むしり、ペットの世話、家具などを移動させることやおしゃべりが目的の話し相手になること、気分転換や気晴らしを目的とした散歩の付き添いも原則介護保険では利用できません。

 「まごとも」はそんな介護保険では対応できない高齢者の頼みごとや困ったことに応えるサービスです。

 運営するのは、京都大学大学院に在籍する山本智一さん(26)。ベンチャー企業を立ち上げ、京都大学構内を拠点に活動しています。

「まごとも」運営会社社長 山本智一さん
「スマホの使い方を教えてほしいとか、一緒にデパートでショッピングしたいというのもありますし、驚いたのはユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行きたいとか、いま流行っているものを教えてほしいみたいな感じで。『孫世代の友達』をコンセプトにしているので、シニアの望むこととかある種、意欲みたいなところを引き出すというのが、僕らの仕事かなと思っていますね」

 「孫」世代の若者が「友達」のように高齢者を支える「まごとも」。

 利用料金は1時間2500円、プラス交通費として一律500円です。

遠藤咲季さん
「違う世代の方と接する機会があって、それが自分的には楽しい経験だったので『まごとも』というのを知って始めた感じです」

 横本さんきょうも楽しい時間を過ごせたようです。

横本勝さん
「お世話になっている、支援してくださる人。そういう感覚ですね。こうして皆さんに囲まれて、これやったら…。僕も、もっと長生きせなあかんなと」

 65歳以上が人口の3割に迫る超高齢化社会「日本」が抱える課題。高齢者と若者の世代間交流を育む取り組みが注目されています。

山本智一さん
「年齢も違う、生き方も違う、そういうシニア世代とつなげることができれば、若い世代に多様な価値観に触れて学べる機会をつくれるなと思って『まごとも』を思いつきました。ボランティアとは少し違って、持続可能なかたちでサービスをつくっていきたいなと」

 「まごとも」は東京23区、大阪市、京都市の3つのエリアで一人暮らしの高齢者や介護負担を減らしたい家族など数百人が利用しているということです。