声の権利を守るための新たな取り組みを取材しました。
■声優業界「生成AIの音声使わないで」
日本俳優連合 池水通洋副理事長
「こんなデタラメなことが行われている。声優たちは心外であります」
怒りの会見を開いたのは声優業界に関わる3つの団体です。生成AIによって声を無断使用された声優はおよそ270人に上るそうです。
生成AIの音声の扱い方について、アニメや海外映画の吹き替えで使用しないこと、学習させる際は本人の許諾を得ること、生成物にはAI(人工知能)と明記することなどを求めました。
人気声優たちも自ら“呼び掛け”を行っています。ドラゴンボールZのフリーザ役などで知られる声優の中尾隆聖さんも声を上げた一人です。
フリーザ役など 中尾隆聖さん
「『声優の声は単なる音声ではなく、その人の個性や職業的スキル、長年の努力の成果が反映された財産です』。今読んだコメントはAIが作った文章なんです。私たちはこれから、このAIとともに戦っていかなければいけません」
ただ、すべてを否定しているわけではありません。
フリーザ役など 中尾隆聖さん
「私の友人が先日、病気で声をなくして、そしてAIによって最後の声をキャラクターの声として残すことができました。とてもすてきなことだと思います」
■声の権利守るため生成AI活用
一足先にAIと共存するシステムを作っている企業もあります。
孫悟空役など 野沢雅子さん
「Hello SUPER J CHANNEL.」
孫悟空役などで知られる野沢雅子さんの生成AIの音声です。サービスを開発する「コエフォント」では、話してほしい言葉を入力すると本物そっくりの音声が生成できます。海外の言葉に変換することも可能です。
声の持ち主は自ら声を登録。生成AIの音声が使われると文字数によって報酬がもらえるシステムです。登録するためには用意された50の文章を読み上げます。
コエフォント 広報 山田泰裕氏
「(Q.早口言葉も正確に言える?)ひょっとしたら駒見さんよりも得意かもしれないです」
より生活に身近になってきたAIの技術ですが、声の権利はまだ法律で守られていません。
コエフォント 広報 山田泰裕氏
「本人の同意なしにAI音声は作らない。そして、使わせない。使われた分は正しい報酬を支払うということが広まっていけば、しっかりとしたルール作りになる」