気候変動対策を話し合う国連の会議=COP29は発展途上国への資金援助を巡る議論が合意に至らず、会期を延長しました。
■COP29 協議難航で会期延長
アメリカ 次期大統領 トランプ氏
「私たちが許せない浪費がある。無意味な…新しいグリーン詐欺に金をつぎ込むことだ。EVの普及策を初日に終了する」
トランプ政権復活で気候変動対策は一変しそうです。
来年1月に発足するトランプ政権では、北米製造のEV=電気自動車を購入する際に支給される110万円ほどの補助金が廃止される可能性があり、EVの販売数低下が危惧されています。
トランプ次期大統領は気候変動の国際的な枠組みのパリ協定から離脱する見通しで、アゼルバイジャンで開かれている気候変動対策を議論する「COP29」の交渉にも影響を及ぼしています。
■途上国支援めぐり対立続く
最大の焦点となっているのは資金調達です。
先進国が主導して途上国に対する支援の規模を2035年までにおよそ38兆5000億円に拡大させるなどとしていますが、途上国側は4倍以上の額を求めていて、隔たりが浮き彫りとなりました。
結局、22日も合意することはできず、会期を延長して翌日も交渉を続けることになりました。
会議に集まった人たちからは「アメリカの協力がなくなると、お金が集まらなくて対策が難しくなる」と心配する声が上がっています。
専門家は温暖化対策で今、世界は岐路に立っているといます。
気候科学者 江守正多東京大学教授
「世界に向けたリーダーシップがなくなったので、『じゃあウチもさぼろう』となるのか、アメリカもパリ協定から抜けるから『自分も抜けよう』が出るか、非常に重要になる」
G20サミットでも波乱となりました。
議長国のブラジル、ルラ大統領と各国首脳の記念撮影。ルラ大統領は握手をしながらにこやかに写真撮影に応じていましたが、「アルゼンチンのトランプ」とも呼ばれるミレイ大統領の時は握手も笑顔もありませんでした。
サミットでは、ルラ大統領が世界は今年、これまでで最も気温が高い年になる可能性があるとし、「失う時間はない」と訴え、気候変動目標の前倒しを提案。
これに異議を唱えたのがミレイ大統領でした。持続可能な開発を推進するなどの首脳宣言には同意しないことを表明しました。
最終日の写真撮影にミレイ大統領の姿はなく、トランプ氏の大統領就任を前に自国ファーストの動きが広がりつつあります。
このまま温暖化対策が進まなければ、災害は増え続けるといいます。
江守東京大学教授
「温度が高いと水蒸気が多く含まれて大雨が降りやすくなる。水蒸気が多い分だけ割り増しで雨が降るので、温暖化のせいでパワーアップしていると考えたら分かりやすい」
地球の未来を守るため、今こそ社会全体のシステムを変えることが大事だといいます。
江守東京大学教授
「一人ひとりが毎日意識して頑張ってCO2を減らす世の中ではなくて、普通に生活してCO2が出ない社会に変わっていることが必要になる」
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