「ニセモノだからできること」嘘から見る真実 エープリルフールに嘘を考える

社会

 4月1日は「エープリルフール」です。毎年、SNSでは各企業が実在しないユニークな商品を紹介し、話題となっていますが、この日だけあえて嘘をつかない「ある新聞」があります。

 『「米がないなら…」マリーアントワネットさん、SNS凍結』『通信障害でも安心「紙製ツイッター」配布はじまる』など、目を見張るような記事が掲載されています。

 記事を発信しているのは、今年で創刊21年目の虚構新聞です。

虚構新聞 社主 UKさん
「読者に今を感じてもらえるような内容も入れたいですね。完全に空想のものになってしまう。新聞を名乗っている以上、時事や政局を織り込めたらと思っている」

 記事は、現実の出来事を皮肉たっぷりのパロディにし、世の中に関心を持ってほしいとの目的で書かれています。

UKさん
「見出しだけで拡散された時に誤解を生みかねないので、企業の株価などに影響するような記事は書かない」

 読者をだましたり世間を騒がせたりする悪意はないとのことで、タイトルをなぞると嘘だと分かるよう細工を施しています。

 誹謗中傷を受けることはないものの、なりすましにより悪質な記事が出回ったことがありました。普段、「嘘」をついているだけに、難しさがあったといいます。

UKさん
「『このアカウントですよ』というと向こうの思うつぼになるので、レイアウトが違うなど、注意喚起はした」

 常に嘘と向き合う姿勢を崩さない虚構新聞は、毎年4月1日に「うそについて考える」をテーマに本当の記事を掲載します。

UKさん
「(4月1日に)本当のことを言えるのはある意味、虚構新聞だけなので、嘘について考えてもらえる内容にしたいと思う」

 嘘が世の中に目を向けるきっかけに。情報が多い時代だからこそ向き合い、考え、適切な判断が求められます。