「トランプ関税」迫り日本の“軽トラ”駆け込み需要 値上がり前に“現金払い”の客も

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トランプ大統領、「アメリカ解放の日の始まりだ」と宣言し、自働車関連の追加関税25%を決めました。その発動を目前にして、アメリカ国内では日本の軽トラックを、駆け込みで現金一括購入する人も。

■迫る“トランプ関税” 日本車駆け込みも

アメリカ東部、ノースカロライナ州。トランプ大統領による自動車関税の影響はこんなところにも…
(小松靖アナウンサー)「アメリカでも根強い人気を誇る日本の軽トラ。ですが、すべて輸入品ですので25%の関税の対象となります」
14年に渡り、軽トラを中心に販売を行ってきたトニー・チャイルズさん。
(日本の「軽トラ」を販売する トニー・チャイルズさん(57))「きのうも客から電話があったのですが、『関税が発動する前に買うべきか』、『値段はそのままか?』と問い合わせがきています。みんな関税について考えています。そして私が値段を上げるか気にしています」
燃費が良くて小回りが利き、さらに安くて壊れにくい。そんな理由から、いま「軽トラ」がアメリカ人の心を鷲掴みにしているといいますが…
(トランプ大統領)「彼らが長年奪ってきた雇用と富を取り戻す。友好国・敵対国問わず散々むしりとってきた。むしろ友好国の方がタチが悪かった」
すべての輸入自動車への追加関税。4月3日から新たに25%が上乗せされ、乗用車は現在の2.5%から27.5%に、トラックは25%から50%になります。

日本から輸入した軽トラも50%の関税がかかることになります。
(トニー・チャイルズさん)「(関税は)消費者にとって良くはありません。値上がりにつながってしまいます。」
すると取材中、軽トラを欲しいという客が…
(軽トラを買いに来た スナイダーさん夫妻)「2年ほど探していて、ここ数カ月で真剣に見るようになりました。来週以降は1200~1500ドルほど(20万円前後)上がるそうです。買うのには、今は良い時期だと思います」
庭の整備に使う車を探していたというスナイダーさん夫妻。一目で軽トラが気に入ったようで…この日、9200ドル、日本円で約140万円の軽トラを購入しました。
(スナイダーさん夫妻)「信頼性が高いしコンパクトです。車の維持費がかからず経済的にも安上がりです」
「高くはないし、いろいろ遊んで楽しめるとも思って」
仮にこれが4月3日以降に輸入した軽トラであれば、25%関税が上乗せされるので単純計算で約175万円になります。
年間600台近くを販売しているというトニーさん。今後は企業努力で何とか価格を抑えていくしかないと話します。
(トニー・チャイルズさん)「もし私が決断を下せる立場にあったら、追加関税は考案しなかったでしょう。しかしながら彼は私の大統領で、私は彼を支持しています。最終的には、一定の価格を私がかぶるしかないと思っています。そうすれば価格がそれほど高くならずに済みますから」
トランプ大統領の支持者は、今回の追加関税を歓迎しています。
(トランプ大統領の支持者)「(関税は)良いと思う。米国にビジネスが戻り、企業が戻り、製造業が戻るから。彼がこうなると言ったことは、その通りになるんだ」

■「自社商品は対象?」対応苦慮

一方、ニューヨークの街の人々に聞くと…
「車が値上がりするんだから良くないよ。すべてが高くなるんだろう?彼の支持者のお金が無くなるのを実感すればトランプは撤回するよ。」
「バカな話さ。自らを弱体化させているよ。(日本車は)アメリカ製より信頼できる。(関税をかけたからといって)我々が良い車を作れるようになるわけじゃない。」
トランプ大統領はNBCテレビの取材に、自動車の価格が上がることは「全く気にしていない。値段が上がれば人々はアメリカ製の車を買うようになるから」と答えたといいます。

日本からアメリカへの自動車の輸出額は年6兆円以上。今回の追加関税は“日本経済の屋台骨”である自動車産業に深刻な打撃を与える恐れがあります。
(ジェトロ広報課 紀井寿雄課長)「自分の商品が該当するかどうかという問い合わせが来ていまして」
ジェトロが経済産業省と共同で設置した関税の相談窓口には、約400件の相談が寄せられています。
(ジェトロ広報課 紀井寿雄課長)「発表した後にまた方針が二転三転するというところも見られますので、本当に正式な資料などが出るのかというところまで見極めないといけないのかなと」


3月30日『有働Times』より