山火事一週間も…「鎮圧」至らず 山肌覆う“黒い灰”で熱源くすぶったか

社会

一週間燃え続けた愛媛・今治の山火事。番組では独自に、専門家と一緒に黒焦げになった山林に入りました。なぜここまで被害が拡大したのか、一面に広がる“黒い灰”から、見えてきたものとは。

■山肌に熱源・住民避難の一部始終

(金子友広ディレクター)「消火活動を行うため、ホースをもって山に登っていきます」
愛媛県今治市。黒く焼け焦げた山には、30日も消防隊の姿が…
(金子友広ディレクター)「熱源があったのでしょうか?スコップで穴を掘って、その中に水を撒いている様子が伺えます」
いまだ“鎮圧”に至っていません。

山火事が発生したのは、先週の日曜日。火は一晩中燃え続け、翌日には住宅地に迫る勢いで広がりました。3日目には…
(下村彩里アナウンサー)「あっ、1階の部分まで赤い炎が見え始めました。ものすごい火の勢いです」
住宅が炎に包まれました。山から離れている住宅地での火災。飛び火で燃え移ったとみられます。
これは山火事が迫る中、農機具を運び出した男性が撮った映像。辺り一面、煙に包まれ、数m先も見通せない状況です。
(撮影した 高宮陽司さん(36))「来たときは周りが燃えていたような状態。トラクター出して、次もう1回上がろうかと思ったんですけど、煙もすごかったので、全然入れるような状態じゃなかったんで。」
Q.最初は遠くが燃えていたわけですよね
「そうですね。他の地区が燃えたので、ここまで飛んでくると思ってなかったんで。」

■なぜ被害拡大?・“黒い灰”と気候変動

なぜ飛び火が起き、山火事は広がったのか…森林火災に詳しい日本大学の串田教授と避難指示が解除された現場に入りました。
(草薙和輝アナウンサー)「奥の家に関しては燃えてしまっていますね」
(日本大学・環境学科 串田圭司教授)「住宅が燃えるということになると、結構大きめのもの(火の粉)が風にのって飛んできた。やはり極端な乾燥と強風というのが大きかったと言えると思いますね。」
これは26日、山火事を撮影した映像。火の粉が舞っているのが分かります。今回、飛び火が広がった理由は、木の燃え方にありました。
(日本大学・環境学科 串田圭司教授)「これなんか樹冠火を受けた木ですよね。樹皮の部分だけが燃え残って、幹の中に火が通った、下から上へ火が燃え上がった痕跡ですね。」
樹冠火とは、木の枝葉全体、根元から上まで燃えること。火の粉が強風で飛び、延焼しやすいといいます。実際に今回の山火事のエリアは、火災発生から5日で、8倍以上に広がりました。真っ黒に焼け焦げた山を見てみると…
(日本大学・環境学科 串田圭司教授)「これが全部灰ですよね。草木、落ち葉も含めて燃えたものがこれだけたまっている。」
山の斜面を覆う“黒い灰”。この下に熱源がある可能性があると言います。
(日本大学・環境学科 串田圭司教授)「これが10cmないし20cmぐらい、こういうものが溜まっていて、地中でくすぶりながら燃えますので、それを消し止める活動を(消防隊が)されているんですね。温暖化が進むと、雨が降らない日数が増える。それから高温になってしまう。それと強風が合わさる。日本、韓国を含めて世界的に、温暖化が進むとまた山火事が起こりやすくなる。」


3月30日『有働Times』より