中居正広氏の性暴力、第三者委が認定「業務の延長線上」 フジで女子アナら類似案件も

経済

 中居正広氏とフジテレビのアナウンサーだった女性とのトラブルを巡る一連の問題です。先月31日、第三者委員会が調査報告書を公表しました。中居氏の行為は重大な人権侵害で、業務の延長線上における性暴力があったと認定しました。

■中居氏「性暴力」までの詳細やり取り

 400ページ近くに及んだ第三者委員会の報告書。性暴力被害が起きるまでの中居氏とAさんの具体的なやり取りが明らかにされていました。

 おととし5月28日、中居氏はバーベキューを開催するとして、フジテレビの元編成幹部・B氏を誘います。

中居氏
「男同士じゃつまらんね。女性いるかなね。一般はさすがにね。フシアナ、誰か来れるかなぁ」

B氏
「アナウンサー調整してみます」

 B氏はAさんをバーベキューに誘います。

 3日後のバーベキューにはAさんと中居氏、B氏のほか、フジテレビの女性アナウンサー、男性タレント2人とTBS男性社員2人らが参加。5時間ほどで終わったといいます。片付けを終えた際、中居氏は…。

中居氏
「おなかがすいたので、誰か一緒にすしを食べに行かないか」

 Aさんが参加表明し、中居氏、B氏と3人ですし店に行くことになります。Aさんの説明によると、すし店でB氏は「(中居氏とAさんが)付き合っちゃえばいい」などと発言したといいます。

 この日、Aさんは中居氏の求めに応じて携帯電話の番号を交換しました。

 バーベキューから2日後のおととし6月2日、中居氏はAさんに連絡します。

中居氏
「今晩、ご飯どうですか?」
「メンバーの声かけてます。また、連絡します」

 複数人の会合だと思ったAさんは、予定が空いている旨を中居氏に伝えます。

 しかし、その後のやり取りで…。

中居氏
「(仕事)終わりました。メンバー見つからずです~。どうしようかね。2人だけじゃ気になるよね。せっかくだから飲みたいけど」
「お店のレパートリーが情けないですが乏しく…笑。どうしようかね」

 中居氏は、食事をする他のメンバーやお店が見つからなかったとして、自身が所有するマンションでの食事をAさんに提案します。

 しかし、第三者委員会の報告書よると、中居氏は実際には誰にも声をかけておらず、店に電話をかけることもしていなかったといいます。Aさんはこの時の心境について…。

Aさん
「直前、誰も集まらない、いい店がない、それならこの前みんなでバーベキューをしたところでご飯はどうですか?と仕事上付き合いのある芸能界の大御所からそう言われたら、今夜暇だと言ってしまった私は行かざるを得ない。B氏や他のディレクターはいつも中居氏にペコペコしている姿を見ていたから、逆らえないと思っていた」

 第三者委員会は、こう結論付けました。

第三者委員会 委員長 竹内朗弁護士
「今回起きたことというのは、2人の間のプライベートな問題ということではなく、CX(フジテレビ)の業務の延長線上にあったというふうに判断をしております」

■フジ対応「中居氏の利益のため」口封じも

 第三者委員会によって認定された性暴力。被害が起きた後のフジテレビ幹部が取った対応の問題点も明らかになりました。2カ月前の会見では…。

フジテレビ 港浩一社長(当時)
「(Q.国民的スターだから中居氏を守ろうとしたのではないか?)そういう気持ちはありません」

去年までフジテレビ専務
関西テレビ 大多亮社長
「中居氏を守ろうとか、そういう意識はもう無かったです」

 しかし、第三者委員会の結論は「フジテレビ幹部が中居氏サイドに立ち、中居氏の利益のために動いた」という真逆のものでした。

 Aさんが摂食障害や鬱(うつ)を発症し、入院したことを知った中居氏は元編成幹部のB氏にメールしました。

中居氏から社員B氏へのメール
「(Aさんから)また連絡があり、摂食障害と鬱で入院。やりたい仕事もできず、給料も減り、お金も無く、あの日を悔やむばかりと。(このメールは)見たら削除して。どうしようか」

 このメールに対し、B氏は…。

社員B氏から中居氏へのメール
「なかなかですね、、私から無邪気なLINEしてみましょうか??」

 さらに、B氏は中居氏から依頼を受け、見舞金として100万円を入院先に持参。第三者委員会は「Aさんに対する口封じ、二次加害行為とも評価し得る」と指摘しました。

 さらに、B氏は中居氏のためにフジテレビのバラエティー部門と付き合いのある弁護士も紹介。Aさんに寄り添うどころか、中居氏をサポートするかのように振る舞っていました。

 こうした間にもフジテレビでは、中居氏の出演する番組の放送が続き、Aさんはフジテレビを退職。B氏がAさんの退職を中居氏に伝えると…。

中居氏
「了解、ありがとう。ひと段落ついた感じかな」
「色々たすかったよ」

B氏
「例の問題に関してはひと段落かなと思います。ひき続き、何かお役に立てることがあれば動きます!」

 第三者委員会は番組継続の判断も含め、当時の港浩一社長らがとった一連の対応について…。

竹内弁護士
「中居氏の番組出演を継続したことは間違った判断であったと。その間違った判断を導いたのは『編成制作ライン』と呼んでいるが、編成制作局長、編成担当専務取締役、そして港社長。この3人が編成制作の考えで、狭い考えの中でコンプライアンス推進室や外部の専門家に相談せず判断をしてしまった。これが大きな間違いを生んだというふうに考えている」

 「性暴力への理解を欠き、被害者救済の視点が乏しかった」と指摘。「経営判断の体をなしていない」と厳しく断じています。

フジテレビ 清水賢治社長
「被害女性の心に寄り添うことができなかったどころか、本人に『会社は守ってくれない』という思いを抱かせ、『退社の道を選択するしかない』と苦しい思いをさせてしまった。被害女性をどれだけ傷つけてしまったかと思うと、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」

■スイートルームの会で女子アナら“置き去り”

 中居氏と元編成幹部B氏が関わる事案は、Aさんの被害以外にも…。

竹内弁護士
「1つ目はホテル、外資系ホテルのスイートルームで行われた会合。そこには、有力な番組出演者と女性アナウンサーが参加していて、そこで実際にハラスメントの被害があった」

 コロナ禍の2021年12月18日、B氏が中居氏やタレントU氏とともに外資系ホテルのスイートルームでの飲み会を開催。スイートルームは玄関から入って、正面にリビングルームがあり、廊下を通じてベッドルームに行くことができる間取りでした。

 参加者は中居氏、タレントU氏、B氏、Aさんを含む女性アナウンサー4人、B氏の部下の男性2人、女性スタッフ1人の合計10人でした。

 午後6時から始まったスイートルームの会ですが、4時間後、唐突にスタッフの退出を働きかけたといいます。

中居氏
「あとは俺たちだけ残るから、スタッフはみんな先に帰っていいよ」

 B氏は中居氏とタレントU氏、女性アナウンサーRさんとQさんになる形を作りたいと受け取り、他のメンバーとともに退出しました。

 その後も4人での飲み会が続きますが、タレントU氏とRさんが席を外すと、中居氏はQさんに対してひざや肩、鎖骨付近に触れたり、顔を近づけたりするセクハラがあったといいます

■有力な番組出演者と個室に“置き去り”

 元編成幹部B氏の“置き去り”事案は、これだけではありません。

竹内弁護士
「2件目は、少し古い話になりますが、有力な番組出演者との飲食の場に女性の社員が呼ばれていって、その女性を置き去りにして、その有力な出演者と女性だけの空間が出来上がった」

 10年以上前、B氏が女性社員を「有力な番組出演者と会食をしているから来てほしい」と誘った飲み会の席でのことでした。

 個室には、番組出演者とB氏のほか男性が3、4人飲み会の途中、女性社員がトイレに立ち個室に戻ったところ、番組出演者以外はおらず“置き去り”になったといいます。

 その後、番組出演者から促され別の店に移動。その店の地下室で番組出演者は突如として、ズボンと下着を脱ぎ下半身を露出。危険を感じた女性社員は外に出たといいます。

 常態化していたともいえる“置き去り”に厳しい追及がありました。

清水社長
「(Q.類似事案として2件出てきていた、飲み会のようなことはB氏個人の問題だったのか、それともフジテレビとして会社全体に原因があったり、これまでの経緯に何か背景原因があったとお考えなのか?)本日の報告書で記載されている類似案件等につきましては、やはり特に女性を伴った会合に関しましては、Bさんという人がかなり突出しているように、私も思っております。とはいえ、ここで出されているさまざまな各種アンケートなどを通じても、(会社全体に)さまざまなハラスメントがあったのではないかということが推測されます」
「(Q.第三者委員会で類似事案というのが出て、あとハラスメントの蔓延(まんえん)という事案が出ていると、これに対する処分どのようになりますか?)厳正にこのような案件に関しては、決して許さないという姿勢が大事ですので。発生し、そしてそれが事実関係を確認したうえで、社員でしたら懲罰委員会というものがありますが、そこにかけてなおかつ外部の専門家の助言を入れながら、厳正に処分するというのが今の方針」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年4月1日放送分より)