“トランプ停戦&関税”に翻弄される世界 弔問外交の舞台裏とロシア追加制裁の可能性

国際

ゼレンスキー大統領との膝を突き合わせた電撃会談で再び動き出したウクライナを巡る“トランプ停戦”。そして、日本もターゲットとなった“トランプ関税”。トランプ大統領に翻弄される世界ですが、そのぶれ続ける発言からは“焦り”も。

■米ウ首脳“15分間会談”の舞台裏

フランシスコ教皇の葬儀参列を終え、イタリアから帰国したトランプ大統領。
ホワイトハウスには戻らず首都近郊の所有ゴルフ場へ直行しました。
(ローマカトリック教会フランシスコ教皇)「戦争の暴力と破壊によって痛めつけられたウクライナに平和が訪れますように」
「互いの憎しみを増幅させる『壁』ではなく、対話によって平和への『橋』をかけなさい」
そう語り、すべての争いの終結を訴えたフランシスコ教皇の葬儀。
その直前、サンピエトロ大聖堂の一室で会談したトランプ大統領とゼレンスキー大統領は1対1で15分にわたり“戦争の終結”について話し合ったといいます。
ゼレンスキー大統領は会談の様子をこう明かしています。
(ゼレンスキー大統領SNSから)「良いミーティングだった。1対1でたくさん議論した。わが国民の命を守ること、完全かつ無条件の停戦、新たな戦争の勃発を防ぐ、確実で永続的な平和。もしも共に結果を出せたなら、歴史的になる可能性を秘めた非常に象徴的な会談だった」
イギリスとフランスの両国が事前にトランプ大統領に対し、ゼレンスキー大統領と会談するよう働きかけていたといいます。
葬儀の後、ゼレンスキー大統領はフランスのマクロン大統領と会談。
(マクロン大統領SNSから)「ウクライナは無条件停戦の準備ができている。あとはプーチン大統領が真に平和を望んでいると示すかどうかだ」
さらに、イギリスのスターマー首相とも会談しました。
Q.トランプ大統領との会談はどうでした?
(ゼレンスキー大統領)「とても生産的な会談だった。非常にセンシティブな問題なので、あまり詳しい話はしたくない」
果たして、停戦は実現するのでしょうか?

■トランプ氏ロシアに追加制裁示唆

連日、首都キーウへの攻撃を続けているロシアに対し、トランプ大統領は追加制裁の可能性を示唆しています。
(トランプ大統領 SNSから)「プーチンは戦争をやめたいのではなく、ただ私をもてあそんでいるだけなのかもしれない。銀行制裁や(ロシアと取引する国・企業への)2次制裁のような別の方法で対応しなくてはならないか?」
その一方…
(ウィトコフ特使)「ご機嫌はいかがですか?大統領閣下」
(プーチン大統領)「元気です、ありがとう」
葬儀の前日、トランプ政権のウィトコフ特使はモスクワでプーチン大統領と3時間にわたり会談。このときプーチン大統領は「ウクライナと前提条件なしで交渉する用意がある」と述べたといいます。
アメリカがウクライナ当局に提示したという「トランプ大統領の最終提案」には…
「クリミア半島のロシア支配をアメリカが認めること」「東部・南部4州の占領地域の実効支配も認めること」「ウクライナはNATOに加盟しないと約束すること」など、“ロシア寄りの和平案”が記されているといいます。
トランプ大統領とゼレンスキー大統領が会談した26日…ロシア軍のゲラシモフ参謀総長はウクライナが越境攻撃で占領していた西部クルスク州を完全に奪還したとプーチン大統領に報告しました。
(プーチン大統領)「ウクライナ政権の“冒険”は完全に失敗した」
イギリスの新聞タイムズは、ウィトコフ特使に近い筋の話としてこう報じています。
(タイムズ紙)「トランプ大統領は、ゼレンスキー大統領には提案に同意する以外に『選択肢はない』と考えている。合意に至らなければ、来週、和平プロセスから撤退すると脅している」

■カギ握るベッセント財務長官とは?

一方、トランプ大統領は葬儀に出発する前、日本との関税交渉にも言及していました。
(トランプ大統領)「日本との関係は非常に良好で合意まであと一歩だ」
24日に行われた日米財務相会談。ベッセント財務長官は「為替についても協議できて良かった。議論は建設的だった」と述べています。
いまトランプ政権で経済政策のカギを握るのは、いわゆるMAGA派ではなく、親ビジネス派のベッセント財務長官です。
(ベッセント財務長官)「不均衡が最も目立つのが貿易なので、アメリカは世界通商貿易の是正に乗り出しているのです」
(フィナンシャル・タイムズ紙)「トランプ大統領の政策を軌道に戻し、経済と金融市場の破綻を避けるには、ベッセント財務長官が最も適している。政権内には経済や市場、好不況に疎い人もいるが彼は違う」

4月27日『有働Times』より