広島県が1万人対象に抗体検査 その理由は?

広島

広島県は無作為に選んだ1万人を対象に新型コロナの抗体検査を行っています。この検査でどんなことがわかるのでしょうか。


県が広島大学に委託して行ったこの検査。県民から無作為に選んだ1万人を対象に血液中に含まれた新型コロナの抗体を調べます。


新型コロナに感染すると体内にはウイルスに対する抗体ができます。この抗体を調べることで無症状で感染に気づかなかった人も過去に感染していたことがわかるためこれまでの県内の感染者を統計的に把握できるそうです。


広島大学疫学・疾病制御学の田中純子教授は「抗体の保有率を測るということはその地域でどれぐらいの感染が過去に広がっていたかを知ることになります」と話します。


調査の結果抗体保有率が多かった場合は数字以上に感染が広がっていたと推測でき、逆に保有率が低ければウイルスはそこまで蔓延していなかったといえるそうです。

ただこの場合は次に感染拡大した時に、予想以上に感染者が増える可能性があるそうです。


田中教授は「日本国内だけを見てみても都道府県によってかなり感染状況が違ったりということもありますから広島県としての対策を立てるためには広島県の中でどうなのかということのデータを把握することが大事だと思っている」と話しました。


会場ではどんな行動が感染につながるかを調べるため会社などの感染対策を聞くアンケートも行われました。


田中教授は「(他にも新型コロナの)研究や調査を行っていますので調査結果とあわせて総合的に対策を考えて大事な材料になることを期待して行っています」と話します。


検査は広島市のほか福山市や東広島市など県内5カ所でそれぞれ3回行われ、検査を受けた人にはおよそ1カ月後に抗体の有無を郵送で知らせるということです。


広島大学では集めた抗体のデータをウイルスの特徴や傾向を考えるために活用するということです。