急速に感染が広がっている新型コロナウイルスのオミクロン株。従来の株より感染力が強く医療機関のひっ迫も心配されています。専門家に聞きました。
広島大医系科学研究科 坂口剛正教授「今回は非常に(感染の)立ち上がりが早かった。南アフリカの調査だとデルタ株に比べて3倍広がりやすい。イギリスの調査だと5.6倍広がりやすい」
県内の新規感染者数も2日経つと2倍に増えるという速さ。
湯崎英彦知事「想像を絶するような感染拡大のスピード。拡大が緩やかになったとしても過去最大の感染状況になるのは間違いない」
オミクロン株は鼻やのどといった上気道でウイルスが増え、人に移しやすいという特徴が。
潜伏期間はデルタ株より1日短く、発熱やせきなどの症状が出やすいといいます。
坂口教授「肺では増えないということが色々な実験でわかっている。肺炎を起こしにくい、重症化しにくい。感染力が強いのでこれまでに比べ感染する人が増える。そうすると重症化する率は低くても重症化する人の数は増える」
県の調査によると、感染者の6割以上がワクチンを接種済み。
坂口教授「残念ながらオミクロンにはあまり効果がない。ファイザーを2回接種して20週間、5カ月くらい経つと感染を防ぐ力は10%を切る。ところがファイザーの3回目を打って2週間ほど経つと8割ほど防げる」
3回目を打つと、入院リスクも下がるという結果も出ているといいます。
ワクチンの追加接種、そしてこれまでと同じように三密を避けることやマスクの着用手洗いの徹底が求められます。
坂口教授「目立っているのは医療従事者の感染。これまでと同じ防御をしていても看護師がかかる。もしこれが進むと病院が回らなくなり医療ひっ迫が起こる」
感染力が強いオミクロン株、県内でもクラスターが発生しました。
先月下旬、尾道市の住宅で開かれた会食。44人が参加しおよそ9割にあたる39人が新型コロナに感染しました。
そのうち8人はオミクロン株であることがわかっています。
坂口教授によると特に会食の場で感染することが多いということで、「マスク会食」をするなど気を付けてほしいと話します。
また感染力が強い一方で重症化しにくいという特徴があるオミクロン株、だんだんとかぜやインフルエンザに似てきたといいます。
ウイルス学研究者の間では変異を繰り返しながら季節性インフルエンザに近づいているとされています。
ただ、治療薬の普及が進んでいないことから、感染対策のないコロナ前の日常に戻るにはまだ早いということです。