28日、広島県廿日市市の中心部で相次いで目撃されたクマ。寺に設置されたばかりの防犯カメラが歩く姿をとらえていました。
防犯カメラには現れた真っ黒な1頭のクマが足早に去っていく様子が写っています。
28日午前5時半ごろ、廿日市市桜尾の廿日市高校で「クマのような1メートルくらいの動物が塀を乗り越えて入っていった」と目撃者から警察へ通報がありました。
廿日市高校が臨時休校となったほか、近くの佐方小学校では集団下校となるなど対応に追われました。
和田萌花記者「廿日市高校から600mほど離れた寺でもクマが現れたということです」
クマの姿が撮影されたのは市内の寺院です。今年春に防犯カメラを設置したばかりでした。
正覚院住職・菅梅弘順さん「一番最初にこのカメラが威力を発揮するのがクマの撮影になるとは思ってもいませんでした」
この寺でクマを見るのは初めてだといい、周辺には足跡とみられるものも残されていました。
菅梅さん「寺の建物の前を歩いていた可能性が高いので恐怖感が増しますね」
廿日市市によりますと、直近5~6年で沿岸部など市中心部での目撃情報はなく、28日が初めてだといいます。
なぜクマは人通りの多い市街地に姿を現したのでしょうか。
クマの生態に詳しい広島大学大学院の西堀教授は生活環境の変化を指摘します。
広島大学大学院 西堀正英教授「(この時期は)冬眠に備えてという必要がないので十分奥山で生活できる。例えば住んでいた環境がこれまで住んでいた環境と大きく変わってきた。もう一つはクマ同士の関係で住みづらくなって新しい場所を求めて出てきたのがたまたま廿日市市内だった」
29日も廿日市市内の小学校では登下校の時間に合わせて通学路に教職員が立ったり警察が学校周辺をパトロールしたりと警戒が続いています。
もしクマに遭遇してしまった場合、自分の存在を示すことが重要だといいます。
広島大学大学院 西堀正英教授「クマをみながら後ずさりをしてある程度の距離が取れれば逃げる。走って逃げるのではなく『いるぞ』と存在を示したうえでそこから避ける」
身を守るための備えが必要かもしれません。