「不合理な弁解…短絡的で身勝手 犯人であると認められる」広島地裁懲役18年の判決 その瞬間被告は…【記者が傍聴した裁判(5)】広島・佐伯区“遺体バラバラ”殺人事件

広島

◆3月13日判決の日。
廷内に入ってきた被告。
表情は変わらないものの、両手を握り合うようなそぶりをみせた。今までの裁判より緊張しているように感じた。

裁判長「被告人を懲役18年に処する」

広島地裁は検察側の主張を支持。
「信用できる被告人の捜査段階の自白を併せ考慮すれば被告人が被害者を死亡させ、
その死体を損壊した犯人であると認められる」
「被告人の特性を考慮しても、激高して殺害行為にまで及んだことはやはり短絡的で身勝手というほかなくその意思決定は
厳しい非難を免れない」
「その上で殺人及び死体損壊について不合理な弁解に終始しており、自身の罪と向き合う姿勢がみられないこと、
他方で、死体遺棄については事実を認めていること、前科がないこと、家族の支えが期待でき、再犯可能性が高くないなどの
情状も併せ考慮し主文の刑が相当と判断した」

●さんを殺害し、その遺体を解体・遺棄したのは被告1人の犯行であると判断した。

~判断理由~
・事件の隠匿・死体遺棄の事実
被告は●さんの死亡や解体・遺棄の事実を知りながら、警察や家族にも一切告げることなく、約1年半経った頃、胴体部分を掘り起こし再び海に遺棄したことは弁護側も認めている。この事実は、
被告が被害者の死亡と遺体の解体に関与している可能性は極めて高い。

・第三者関与の可能性の低さ
祖母の自宅で、当時、母や祖母・叔父も不在。証拠上第三者がいたという形跡もない。
現場にいた被告の犯行であることが強く推認できる

・自白の信用性
被告の「単独犯を認めた供述」は当時の心境を交えた具体的な内容で、
法医学者の見解ともよく整合した自然で合理的なもの。
「遺体の解体時に血で手が滑っていらついて遺体の胸を刺した」という供述も
実際に経験した者でなければ語り得ない迫真性がある

・家族とのやり取り
「2人組の犯行」とウソを話した日の夜、母と姉から、嫌いになったり見捨てたりしないから本当のことを話すように言われ、すべて自分の犯行だったと告げた。
信頼していた家族にその状況で更にウソをつくとは考えづらい。

判決言い渡しの前後からその瞬間まで、被告の表情が変わることはなかった。
傍聴席も静まり返っていたのが印象的だった。

この判決を受けて弁護側は
「被告人の真摯な主張に耳を傾けない不当な判決であり、被告人とも協議の上、控訴して是正したいと考えている」と話す。

被告が広島高裁へ控訴できるのは判決が出てから2週間以内。

*24日正午現在、被告は控訴していないという

*傍聴した記者の取材に基づいています。