着物を売ろうと思った時、どのように買取され、その後どうなるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
特に思い入れのある着物を手放す場合、その着物がどこでどのように再利用されるのかは知っておきたいところです。
実は、着物買取にはさまざまなからくりがあり、買取業者によってその後の流通ルートも異なります。
この記事では、着物がどのように買取され、その後どこへ行くのか、その仕組み(からくり)について詳しく解説します。
好きなところから読む
着物買取のからくり
さっそく着物買取のからくりを解説します。
買取業者が買い取った着物の行き先は下記の8つです。
それぞれ見ていきましょう。
自社のサイトや店舗で販売する
多くの買取業者は買取した着物を自社のサイトや店舗で販売し、利益を得ています。
例として大手買取業者「バイセル」は、自社のオンラインストアで着物を販売しています。
引用元:バイセル
買取価格と再販売価格の差額が、そのまま買取業者の利益となる仕組みです。
オークションで欲しい人に販売する
買取された着物は、「Yahoo!オークション」などを活用して、欲しい人に向けてオークションで着物を販売している買取業者もあります。
こちらも例として、大手買取業者「バイセル」が一般消費者向けのオークションを行っています。
引用元:Yahoo!オークション
オークションは、一般消費者だけでなく、他の着物専門業者やコレクターも参加します。
そのため、着物の価値がしっかりと評価される場でもあります。買取業者がオークションを利用するのは、高品質で珍しい商品を持っている場合が多いです。
着物のレンタルショップに販売する
成人式などのイベントで着物を貸し出してくれる「着物のレンタルショップ」は、買取業者から中古品を仕入れている場合があります。
新品よりも安価な中古品を仕入れることで、消費者は安く着物のレンタルが可能です。
着物を着る機会は減ってきているので、必要なときだけ借りられるレンタルショップの需要は高まっています。
中古呉服店に販売する
自社で販売サイトや店舗を持たない買取業者は、中古の呉服店に販売して利益を得ているケースが多いです。
無料での引き取り、もしくは数百円程度の安価で買い取った着物は、中古の呉服店の在庫として並ぶ傾向があります。
そのため、ほとんど値段がつかない着物にも需要がある、というわけです。
海外の着物好き・コレクターに販売する
海外には日本の着物が好きなコレクターがいます。
現代の日本ではあまり考えられないことですが、外出時に特定の衣服を着用する文化の国で、自宅でのファッションとして着物を着る人も多いです。
こうした需要をターゲットに、一部の買取業者は海外に向けて着物を販売しています。
リメイクして新しい衣服として販売する
破れやほつれがあるなど、そのままでは販売できない着物の生地をリメイクし、新しい衣服として販売するケースもあります。
着物の柄によってはワンピースやアロハシャツなど、普段着る衣服のテイストにも合うためです。
そのほかにもバッグやポーチなど、小物のリメイク品も人気があります。
この場合は、買取業者がリメイク業者に販売し、そこから再販売されることが多いです。
状態の良い部分だけ下地やはぎれとして販売する
大半が汚れている着物でも、一部分だけ切り取って下地やはぎれとして販売できます。
生地の一部分だけでも、リメイク小物などの素材として活用できるためです。
そのため「着物のはぎれ」だけでも買い取ってくれる場合があります。
写真館に販売する
写真館で成人式や七五三などの記念写真用に使う着物は、買取業者から調達していることも多いです。
着物のレンタルショップと同じく、必要なときにだけ使えるので写真館の着物は需要があります。
また写真館では集客のために、さまざまな色柄・サイズの着物を揃えています。
そのため買取業者にとって、写真館への販売ルートは安定した収益源の一つです。
なぜ着物買取業者は儲かる?3つの理由を紹介
日本が不況といわれる中、「福ちゃん」や「バイセル」をはじめとする買取業者は利益を伸ばし成長を続けています。
買取業者が儲かる理由として考えられるのは下記の3つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。 着物の買取業者にとっての主な利益は「買取価格」と「再販売価格」の差額です。 たとえば10万円で買取した着物を20万円で再販売すれば、10万円が買取業者の手元に残ります。 この10万円から人件費や出張査定費などの諸経費を引いたものが、最終的に買取業者の利益となる仕組みです。 諸経費も安くはないため、着物1点あたりの利益はそこまで大きくありません。 しかし大量に買取・販売を繰り返すことで、買取業者は大きな利益を得て事業を拡大しています。 「大島紬」をはじめとする高級な着物は、海外のコレクターからの高い需要があります。 着物そのものの価値はもちろん、生地としての評価が非常に高いのがポイントです。 たとえばイタリアの高級車メーカー「フェラーリ」が、大島紬の生地を運転席の内装に使った特別仕様車を公開・製造し、一時話題となりました。 着る機会が減ったことから日本での着物需要は低迷傾向ですが、こうした海外需要が広がっています。 着物買取業者の多くは、着物以外に下記のようなものも買い取っています。 着物だけでなくほかのものも抱き合わせで買い取り、客単価をアップさせているわけです。 特にブランド品や貴金属など単価の高いものは、1点あたりの利益が大きくなる傾向があります。 利用者も不要なものを売ってお金がもらえるので、相互利益が生まれているといえるでしょう。 以上、着物買取のからくりと、売った着物がその後どうなるのかについてご紹介しました。 買取された着物は、再販やリサイクル、海外輸出など多様なルートで再利用されていることがわかります。 着物を手放す際には、業者の取引先や再利用の方法を事前に確認し、自分が納得できる形で再び活かされるようにしましょう。 大切な着物が新たな価値を生み出し、次の持ち主のもとで再び輝く姿を想像しながら、安心して売却できる買取業者を選びましょう。「買取価格」と「再販売価格」の差額で利益を得ている
高級な着物は海外からの需要が高い
参考:南海日日新聞着物以外も抱き合わせで買い取って利益をアップさせている
着物買取のからくり|その後はどうなるのかまとめ