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第6話 「道」

僕のデスクの前には、1枚の絵画が飾られている。
日本画の巨匠、東山魁夷が1950年に描いた作品、「道」。
それは、広い台地の中を1本の道が、ずっとずっとその向こうまで伸びている絵画である。

道。

この絵に描かれているのは、これまで歩んできた過去への郷愁の「道」かもしれないし、
これから歩んでゆく未来への憧憬の「道」かもしれない。
つまり、見る人自身に、「道」が持つ「時間」の解釈が委ねられている。

また、この絵に描かれているのは、絶望と希望が織り交ざった「道」かもしれないし、
遍歴の果てとなる「道」のかもしれない。
つまり、見る人自身に、「道」が持つ「感情」の解釈もまた委ねられている。

「時間」と「感情」。

「人生」を3次元方程式で考える場合、Xを「時間」、Yを「感情」に置くと、Zには何がくるのか?
僕は、それを「人間」だと考える。
人は、ある時、ある人に出会い、ある感情を抱く。
時間と感情と人間の交わる点。
それこそが人生における運命であり、ターニングポイントなのかもしれない。
つまり、ある人に「感情」を抱いた時点で、その人は僕の人生の登場人物になるのだ。

絵画は2次元ではない。

そこには、共有した「時間」があって、生まれた喜怒哀楽の「感情」があって、
なにより、そこに「あなた」がいたのだから。
だから、僕は目の前に飾られた「道」を見るたびに、歩んでいこうと思うのだ。
「あなた」に会うために......

  • 11月11日生まれ
  • A型 さそり座
  • ICU 教養学部 数学専攻卒
  • 銀行員からTV業界へ転身した異色ディレクター
  • 好きな食べ物 すき焼・チョコレート・メロン
  • 好きな言葉 「移動距離とアイデアの数は比例する」
  • 将来の夢は直木賞作家
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