番組は2015年3月をもって終了しました。8年間応援ありがとうございました!
新番組「よなよなテレビ」をどうぞよろしくお願いいたします。
僕の実家は、瀬戸内海に浮かぶ小さな島にある。
その島の名は、因島。僕の故郷だ。
生口大橋を望み、みかん畑の丘の上に立つ白壁の家。
そこには、大らかな父と、朗らかな母が、今も暮らしている。
僕はもう人生の半分近く、実家を離れて生きてきた。
そんな僕は、年に1度しか帰らない。
それでも、父と母は、帰省の度に笑顔で迎えてくれる。
幼き頃と変わらない真っ直ぐな愛情で。
親不孝。
その言葉の重さを初めて知ったのは大学生の頃。
だから、僕は実家に残せるものを作ろうと思った。
そして、ある夏の里帰り。
僕は汗を流しながら、土と格闘していた。
庭を造る。
僕は実家の駐車場の脇に、小さな庭を造ろうと考えたのだ。
レンガを切り落とし、幾何学的に並べていく。
養分たっぷりの土を敷き詰めていく。
慣れない作業と、夏の暑さ。
僕の汗が、できたての庭にしたたり落ちた。
不肖の息子に麦茶を差し出す母。それを遠くから見つめる父。
なんだか、久しぶりの家族みたいだった。
その年、僕は「ガジュマルの木」を贈った。
次の年は、「バラの花」を贈った。
それから毎年、僕は、「根」のある植物を贈っている。
朝夕と庭に水を撒く父。草木に話しかける母。
手作りの庭。
そこからまた家族の繋がりができたのだ。
そして、不思議なことも起こった。
僕が仕事でうまく行かない時は、ガジュマルの木は萎れ、
僕が恋愛でうまく行かない時は、バラの花は咲かなかった。
そんな時、大らかな父と、朗らかな母はいつもと変わらない愛情を庭に注ぐ。
今年の夏の庭。
向日葵が太陽を真っ直ぐ見つめていると、母から電話で聞いた。
なんだか、仕事も恋もうまくいく気分になってきた。
僕たちの家族は遠く離れているかもしれない。
しかし、庭に花々が咲き誇っている限り、僕たちは繋がっている。
僕もいつかこんな「家庭」を作ってみたい。