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第26話 「カレーの哲学」

「好きな食べ物は何ですか?」

これは、僕の一番好きな質問である。
ちょっと気になる異性にでも、会話のネタが無くなってしまった時にでも、まったく文化の違う外国人にでも、どんな状況にもサラリと言い放つことのできるこの普遍的な質問に、僕は多く救われてきた。

「僕はカレーが好きです。」

日本中の誰でも知っている料理、それが、「カレー」。
どこの家庭にもそれぞれの味があり、ふとした時に食べたくなり、その香りは食欲をそそり、食べればもちろん、みんな笑顔になってしまう。
そんな、どこにでもあるカレーに、僕はひとつの「哲学」を見出した。

「カレーの哲学」
その(1) 「カレーを食べるなら、世界一のカレーを食べよう!」
その(2) 「世界一のカレーを食べるなら、自分で作ってみよう!」
その(3) 「世界一のカレーを作ったなら、みんなでそのカレーを食べよう!」

黄金のカレーが、僕たちにもたらすものは、食欲を満たすことだけではない。
ありふれていて、どこにでもあり、たとえ、普通であったとしても、世界一を目指せるということだ。

カレーはじっくり煮込むのがコツ。

世界一のカレーとは、慣れ親しんだお袋の味かもしれないし、慣れない手つきで厨房に立つ彼女の優しさかもしれない。
なぜなら、カレーを煮込む時間は、相手を思う時間なのだから。

久しぶりに、僕もカレーを作ってみようかな。
辛口が苦手な彼女のために、ちょっと甘いのを。

  • 11月11日生まれ
  • A型 さそり座
  • ICU 教養学部 数学専攻卒
  • 銀行員からTV業界へ転身した異色ディレクター
  • 好きな食べ物 すき焼・チョコレート・メロン
  • 好きな言葉 「移動距離とアイデアの数は比例する」
  • 将来の夢は直木賞作家
  • 現在、花嫁募集中

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